いつかNBAの選手になって、でっけぇ家を建てて犬を3匹飼うんだ

     信長が小さい頃口癖のように言っていた


     「最近信長あれ言わないね」

     「あれ?」


     信長と私は所謂幼馴染というやつで、小さい頃から何でも一緒にやってきた

     中学に入るとさすがに誘われなくなったけど、昔はよくバスケの練習にも付き合わされた

     今もこうやって、信長ん家の犬の散歩に付き合っている


     「あれだよ、NBAの選手になってでっけー家建てるんだーってあれ」

     「あー、あれか」

     「そ。何、諦めたの?」

     「諦めるか!」


     信長は思いっきり叫ぶ 叫ばなくても聞こえるっての


     「でも今はあれだな、コートのある家建てて自分の子供とバスケしてぇな」

     「え、あんた結婚できると思ってんの?」

     「うるせー!!」


     子供ねぇ、信長がお父さんとかなんか想像できないかも


     「私は男の子と女の子一人ずつがいいなぁ…」

     「え!?ここはやっぱ男三人だろ!?」

     「男三人って大変そうじゃん。せめて男の子は二人だよ」

     「お前わかってねーなー」


     いいか、男が三人いればな…と信長は力説し始めたけど

     私はそれを聞かずにボーっと将来のことを考えていた

     子供は二人で、女の子男の子の順がいいかなぁ

     年は二個差くらいが丁度いいかなぁ


     「おい、聞いてっか?」

     「え、あ、うん」


     聞いてないけど、ここで聞いてないと答えると面倒そうだから聞いてると答えておこう


     「やっぱさー家の屋根は赤だよなー」

     「え、青いほうがいいよ」

     「普通屋根っつったら赤だろ?」

     「私青のほうが好きだもん」

     「何だよ、じゃあ青にすっか」

     「って、何でさっきから私と信長が結婚する前提で話進めてんのよ」

     「別にいいじゃねーか。ただ話してるだけだし」

     「…まー、ね」



     いつか本当に信長が私のために青い屋根の家を建ててくれたらいいのに

     そう思ったけど、とりあえず今は言わないでおこう



















     07.01.19

     恋人じゃないけどそんな話をしても不自然じゃない、微妙な関係






     タイトル配布元→capriccio