「ずっと好きだったんだよ」




真っ赤な目で、声を振り絞ってはそう言った。ごめんね、そう付け加えて。

とは幼馴染で、どっか行くたびにちょこちょこ付いてきて、オレにとって妹みたいなやつだった。小中と一緒で、高校まで一緒になるとは思わなかったけど、一緒になったからといって嫌なわけではなかった。むしろ少し安心した自分がいた。一緒にいるのが当たり前のことだったからだ。がオレの隣からいなくなるのは考えられない。今考えてみれば、が西浦を受けると言い始めたのはオレが西浦に行くって言ってからだった。そこで気付いてやればよかったのか。

昔から何回も何回も、「お前ら付き合ってねーの?」と聞かれたけど、毎回ありえねえ、と答えた。は妹みたいなもんだ、と。はいつも「私がお姉ちゃんだよ」と言って、お前のどこに姉らしいポイントがあるんだと言ってやった。隆也、隆也、といつもオレの後ろをついてくるだけのくせに。

もオレと同じ気持ちだと思ってた。オレについてくるのは兄妹みたいだと思ってるからだと。がオレを好きだなんて考えたこともなかった。ごめんね、の意味は、困らせてごめんね、という意味だろう。オレはのことを絶対に恋愛対象として見れない。あいつは幼馴染で、それ以上でもそれ以下でもない。と付き合えるはずがない。はそれをわかってたから今まで言わずに、ずっとその気持ちをしまいこんでいたんだ。自分が周りの感情に疎いというのは自覚してるけど、10年以上一緒にいるやつのこともわからないのか。のことなら何でもわかってる気でいたけど、オレは結局の本当の気持ちを、全くわかっていなかった。

好きじゃなきゃ付き合えないのか、とかそういう問題じゃない。は家族同然なんだ。幼馴染との恋なんて、漫画の中だけだと思ってた。に恋愛感情なんて抱けるはずもない。家族なんだ、あいつは。そこらへんの女よりよっぽど大切だ。それでも、付き合うなんて考えられない。

何があっても、あいつはオレにとって幼馴染だ。傷つけたくない、これからも今まで通りでいたい。そんなことは無理なのか。明日会ったら避けられるのか。避けられなかったとしても、オレはと付き合えないんだから、今までと全く一緒というわけにはいかない。
だけど、どうしても傷つけたくない。は一番大切なやつなんだ。大切な、幼馴染。


すぐにとは言わない。また、 と笑い会える日が来ればいい。













いつか未来で、笑えたら
07.12.23



タイトル配布元→capriccio