遠い意識の中で、電子音が響き渡る。
何だろう、とぼんやりした頭で考えて覚醒する。

「…あー…」

ごそごそと枕元にある携帯を手探りで掴もうとする。
だけど、私が掴む前にアラームは止む。

「あれ」

自然に止まった訳ではない。
一緒に眠っていた花宮が、私の携帯を掴んでいる。

「…うるせー」

花宮は私の頭を叩く。

「なんでアラーム掛けてんだよ」
「解除するの忘れてたの」
「もっと寝かせろよ…」

花宮はそう言うけど、昨夜寝かせてくれなかったのはどこのどいつだと心の中で毒づく。
私も眠かったけど、目が冴えてしまった。

「んー…」

私は伸びをして起き上がろうとする。
だけど、それは花宮に阻まれた。

「わっ」

花宮は私を抱きしめて、無理矢理ベッドに寝かせる。

「…ちょっと」
「なんだよ」
「私、もう眠くないんだけど」
「知るかよ」

花宮は目を瞑る。
本当に寝る気なのか。私を抱きしめたまま。

「勝手に一人で起きんなよ、バァカ」

花宮は私の髪を梳きながらそう言う。
ああ、これは絶対離してくれないな。

「…」
「花宮」
「……」

名前を読んでみても、返事をしない。
もう、ぐっすり眠っているようだ。

「…はあ」

もう私は眠くないのになあ。
そんなことを思いながら、花宮にキスをした。

花宮は我儘で、意外と甘えたがりだ。









夢をわたる
13.04.23

朝チュンシリーズ第3弾


配布元→capriccio



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