「あと1年ちょっとで卒業だね」
帰り道、空を見上げてぽつりと言った
「何をいきなり」
「んーなんかいきなり思っちゃった」
私たちはまだ2年生だから、卒業までまだまだ時間はあるけど
「だって牧さんもあっという間だぞって言ってたし」
「まぁね」
それに3年生になったら受験勉強とかで忙しくなるだろうし
こうやって宗一郎と話すのも少なくなっちゃいそうだ
「卒業したらさ、」
「ん?」
「高校のときはよかったなぁとか思うのかな」
「…どうだろうね」
「卒業して、海南に来てみたらきっと懐かしいと思うんだろうね」
「そのときはOBとして後輩を鍛えなくちゃいけないな」
宗一郎は笑って言うけど、私はなんだか切ない
だってきっと私と宗一郎の進路は全く別になるだろう
一緒にいれるのは、あと1年ちょっと
別々になったら、今を幸せだったと思うだろうか
「海南に行くときは一緒に行こうね」
「もちろん」
「宗一郎、」
「なに?」
「卒業しても、ずっと一緒にいてね」
宗一郎は私の頭を撫でて、当たり前だろ、って言った
「ていうか、気が早いよ」
「それもそうだね」
そう言って私たちは笑い合った
宗一郎がいれば、今以上に幸せになれる気がした
07.01.24
タイトル配布元→capriccio