ときどき、本当にときどきなんだけど、無性に寂しくなって、少しだけ泣きたくなって、そんなときは君の声が聞きたくなるよ。 携帯の電話帳を開いて、さ行のページへ。見慣れた名前と番号を確認して、通話ボタンを押す。 あ、まだ部活中だったかも、と思ったときに電話口から声が聞こえた。白石の、声。 「もしもし?」 「…白石?もう部活終わったの?」 「ああ、今、帰り道」 「…そ」 「何や、どうかしたんか?」 「べっつにー」 何もない、というのは本当だ。別に特別なことがあったわけじゃない。 ただ、少しだけ、寂しくなった。それだけ。 白石の声が好き。声だけじゃないけど、なんていうか、白石の声を聞くと安心できるんだ。 すーっと、涙が引いていくのがわかって、私、白石のこと好きなんだなあって実感する。 「ホンマに何もないんか?」 「ないよ、大丈夫。じゃあ、また明日ね」 「ならええんやけど。じゃあな」 電話を切ると、また寂しさがこみ上げてきたけど、大丈夫。 さっきとは違う寂しさで、心地よい寂しさというか、そういう感じ。 多分、白石は私がいきなり電話した理由とか、全部わかってるんだろう。 私が、白石の声を聞くだけで、安心してしまうことも、全部。 寂しくなったら、また電話するからね。 07.10.21 無性に寂しくなるときってありませんか。 白石はそういうのを察するうまそうだなあと。 最近白石が好きすぎてやばいんです。 タイトル配布元→capriccio |