何で日本って死んだら火葬にしてしまうんだろう。だって人間は植物とか動物とか食べてるんだから、死んだらその分地球にお返ししなきゃいけないんじゃないの?せっかく自然には食物連鎖という素晴らしい関係があるのに、その関係をばっさり壊してしまうのなんて馬鹿げてると思うんだ。


「ということで私が死んだら土葬にしてね」
「ふざけんな」

ユキは私のささやかな願いをすぐさま却下すると同時にチョップまでお見舞いしてきた。
私は至極真っ当な意見を言ったつもりなのだけど。

「だからって何で俺に頼むんだよ」
「私死ぬならユキの前でって決めてるから」
「それすげえ迷惑なんだけど」

迷惑だろうと何だろうと私の意見を変えるつもりはない。まあ、本当にユキの前で死ねるかどうかはわからないけど。

「だから、お願いね。火葬は勘弁して」
「ふざけんなっつてるだろうが、なんでお前を土葬しなきゃいけないんだよ」
「いいじゃない、ちゃんと自然の摂理に従おうとしてるんだから」
「んなもんに従うな」

ユキは私の手を痛いぐらいの力で掴むとぐっと顔を近づける。

「お前を土なんかに渡してたまるかよ。全部燃やしといてやる」

そう言ったユキの瞳は独占欲に満ちていて、きっとこの人の目が届かないところで死んだら怒るんだろうなと思った。
全部全部、この人に燃やしてもらいたい。心の底からそう思う。












死神のワルツ
08.10.05




タイトル配布元→capriccio