「私白石くんのこと好きなんだよね」

幼稚園からの友達にそう言われのは確か3ヶ月前。「応援するよ!」と私は言った。その子のことは大好きだったし、是非とも幸せになってほしかったから。友達は「じゃあ白石くんのこと教えてくれる?」と言った。でも私は白石と同じクラスだったけど、話したこともなく白石のことなんて全然知らなかった。けど友達のためだ、と思い白石のことを調べるために白石といろいろ話すようにした。どんな食べ物が好き、とかテレビいつも何見てる?とかそんな程度のことから始めて、最終的にはどんな子が好きなの、とかそういうことまで話すようになった。聞き出すたびに友達に報告して、そして白石にはなるべく友達のことを話すようにした。2ヶ月前、友達が私に教科書を借りに来たとき、白石が「ああ、がいつも言ってる子?」と言ったとき、友達の顔は火が出るんじゃないかというくらい赤くなっていた。友達のことを可愛いなぁと思いながら少し胸の痛みを感じた。
それから白石と友達も話すようになった。最初は私を入れて3人じゃないと話せなかったけれど、段々2人で話せるようになっていた。つまり私は用済みなわけだ。邪魔者は退散するべき。そう思い、私は白石と距離を置くことにした。また胸の痛みを感じた。

「白石くんに告白するよ」

昨日、友達が言った言葉だ。頑張って、言おうとしたけど、うまく言葉が出なかった。一回唾を飲んでから頑張ってね、と言った。だけどその日友達から結果報告のメールも電話も来なかった。そのことからダメだったんだろうなぁと思った。

今日、放課後友達の教室訪ねたけど休みだった。相当ショックだったんだろう。落ち込みやすい子だからなぁと思い彼女の教室を出て自分の教室に戻った。
私の教室にはもう誰もいなかった。白石以外は。
丁度私の席は白石の席の後ろだ。何となく気まずい雰囲気の中、私は自分の鞄を取った。



「何?」

「昨日、告白されたんやけど」

「知ってる」

「結果も?」

「聞いてないけどわかるよ」

「なぁ」

「それ以上は聞かないよ」

「俺はが、」

「言わないで」

その続きは聞かなくてもわかった。白石は、私のことが好きなんだ。一緒に話してるうちにそう思うことが何度もあった。だけどそれは勘違いだと、ずっとそう思い込ませてきた。思い込ませてきたのに、そんなことを言われたら、私だって抑えがきかなくなる。好きなんだ、私も、白石のことが。一緒に話してるうちに、どんどん魅かれる自分がいて、だけどそれを必死に隠してきたのに。誰にも言えなかった。自分でこの思いを自覚することすらしようとしなかった。だけど、思いは溢れてくるもので。私の目にはたくさんの涙が溜まって、一つ一つ、落ちていった。私は白石が好きで、白石も私が好きで、だけど私の友達も白石が好きで、誰も悪くはないのに、誰も幸せになれない。

「人生、うまくいかないもんやなぁ」

白石が言った。白石も気付いてる。私の気持ちも、私の思いも。
白石は私の涙を拭った。私はその手を払って、走って教室を出た。
校門のところで止まって、白石が触れた右の頬をなぞりながら空を見上げた。

神様がいるなら、みんなが幸せになれる結末を用意してはくれないだろうか。




















誰にも言えない悲しい望み
07.02.14



タイトル配布元→capriccio