「、お待たせ…って」 「あ、ごめん。ちょっと待っててもらっていい?」 自主練を終えた辰也が部室に入ってくる。 いつもは私が辰也の練習を待っているけど、今日は逆。 「珍しいね。まだ部誌書いてるの?いつもはさっさと書いちゃうのに」 「いや、さっきまで掃除にはまっちゃって…」 部誌を書いてる最中、ふと部室がものすごく汚れていることに気付いた。 少しだけ…と思って雑誌やDVDの整理をしている間にいつの間にか隅々まで雑巾がけまでしてしまった。 そして肝心の部誌を放ったらかしにしていて今に至る。 おかげでもう部室にも体育館にも誰もいない。 「待たせちゃってごめんね」 「いいよ、いつも待たせてるんだし」 辰也は私の隣に座ると、手元にある部誌を眺める。 急がないと、と思いつついい加減に書くわけにもいかない。 ちょっと焦りながら、何も喋らず部誌を書き進める。 待たせるのはちょっと申し訳ないけど、さっき言った通りいつも待ってるのはこっちだし(別に待つのが嫌なわけではないけど)大丈夫だろう。 「……」 「……」 なんかものすごく視線を感じるけど気にしないでおこう。 きっと辰也も暇なんだろう。確かにすることないし。 …うん。よし、これを書いたら終了! 「」 あと一文書いたら終わり、というところで辰也が私の名前を呼ぶ。 顔を上げて「なに?」と言おうとしたけど、言えなかった。 「なっ…にするの!?」 「キス」 「いやそこを聞いてるんじゃなくて!なんでいきなり!?」 「したくなったから」 さらっと言ってのける辰也。 こ、こいつは… 「二人きりだし、こんなに近くに座ってるし、そう思うのは普通じゃない?」 「普通じゃないよ!」 「ダメだった?」 「ダメに決まってるでしょ!ここ部室よ!」 「誰もいないよ」 「誰かがいるとかそういう問題じゃなくて、部室って言うかそもそも学校だからここ!」 「じゃあ聞き方を変えるよ」 思わず「話聞いてる?」と聞き返したくなる言葉。 辰也は人の言うこと聞かないことよくあるけど… 「嫌だった?」 「なっ…」 辰也の言葉に思わず言葉を詰まらせる。 だから、そういう問題じゃなくて…! 「嫌じゃないだろう?」 「だから、ここ学校なの!」 「否定しないんだ」 「…!」 辰也は少し笑いながら言うともう一度私にキスをする。 学校でこんなこと、いけないとわかっているのに「嫌」と言えない自分が憎い。 「だから、ダメだってば」 「大丈夫だよ」 「大丈夫って、何が…」 「オレが無理矢理してるだけなんだから、は気にしなくていいんだよ。悪いのはオレだけなんだから」 そう言われて、もう反論できない。 降ってくるキスを受け入れる。 部誌、ほとんど書き終わっててよかった、と心の片隅で思う。 悪いのはオレだよ 12.08.14 ただ単に部室(というか学校)でキスさせたいって考えで書きはじめたら想像以上にアレなことに 正直氷室は一番黒バスでエロネタ書きたくなります とはいえ私はエロそのものより本番直前的なのが好きなんですが 配布元→capriccio |