あー練習疲れた、こりゃベッドに寝転がったらすぐ寝るな。そう思ってふらふらしながら自分の部屋に入れば、ベッドの上にいたのは幼馴染の。「おかえりー」なんて言いながら手を振っている。アホかてめえ、そこはオレの寝る場所だ。

「お前何やってんだよ」
「元希に漫画貸しに来たんだけどいないんだもん」

ほらこれ、と言っては漫画を投げて渡してきた。自分のなんだからちょっとは大事にしろよな。まあいーや、ベッドの脇に座って漫画の1ページ目を開いた。

「この巻超面白いよ、主人公がさあ」
「てめっ先言うんじゃねーぞ」
「ぎゃー言いたい!早く読んでよ!」
「じゃー話しかけんな!」

2ページ目を開けば主人公が仲間に剣を向けるシーンがどーんと描いてある。おいおい随分な急展開だな。こういう急展開がこの漫画の面白さの一つなんだけどな。つーかやっぱオレもこの漫画買うべきか?でも金ねーし、が貸してくれっしなあ。って便利だ。怒られっから絶対言わねーけど、人をもの扱いすんじゃない!とかな。

「あー、私まだお風呂入ってないや」
「だから、なんか臭うのか?」
「それ元希の汗の臭い」
「うっせ」
「ねー、お風呂借りていい?」
「いや、先にオレが入る」
「あ、じゃあ一緒に入る?」

あははっ、と笑いながらは枕元にあったお風呂セットを抱えた。お前、最初っからうちの風呂使う気で来たのかよ。まあ別にいいけどよ。オレもよくん家の風呂借りるし。

「何が悲しくてお前と入んなきゃいけねーんだよ」
「何?一緒に入ると欲情しちゃうって?」
「逆に欲情しなさ過ぎて泣けてくるっつーの」
「それはこっちのセリフです〜」

オレ、マジでと風呂入っても欲情しない自信がある。もオレと一緒に風呂入ったって恥ずかしいとか、そういうふうに思ったりしねえんだろうな。幼馴染ってすげえ。兄妹みたいな感じってゆーのか?とりあえずすげーよ、幼馴染って。

「私さあ、彼氏できないの元希のせいだと思うんだよね」
「あ?」

はお風呂セットを抱えながら真剣な目で言ってきた。アヒル持ったまま言われても全然真剣に見えねえ。

「多分、私のこと好きな男の子がいても、私と元希が付き合ってると思っちゃって告白とかできないでいると思うんだ!」
「お前それ本気で言ってんの?」
「本気だよ!多分元希に彼女ができないのも同じ理由だと思うよ!」
…それだ!」
「でしょ!?」

そうか!なーんでオレ彼女できねえんだ?といつも思ってたけどそれが原因か!ナイスだ!いや、が邪魔なのか。

「で、どうすんだ?どうすればいいんだオレらは!」
「まあ、私たちが離れれば二人とも相手できるんじゃない?」
「ふーん…」
「……」
「離れるって、どうやってだ?」
「さあ、自分で考えてよ」
「お前彼氏できなくてもいいのかよっ!」
「元希と離れるくらいなら、いなくていいかなあ」

くすくす、とは笑って風呂へと向かった。おい、オレが先入るって言ったじゃねーか。本気で一緒に入るか?いや、こんなこと言ってっからと付き合ってると思われてんのか。

と離れれば彼女できんのか。オレだって健全な男子高校生なんだから彼女の一人や二人や五人や十人欲しいとこだけど、と離れんのはなんか考えらんねーな。だったら、しばらく彼女いらねーや。
















恋愛感情お断り
07.12.26




タイトル配布元→capriccio