休みの日、突然花宮にメールで呼び出された。
「ちょっと家に来い」と愛想もなければ礼儀もないメール。

まあ、そのメールで行く私も私なんだけど。


「お邪魔しまーす」
「…おう」

家には誰もいないみたいだ。
まあ、花宮が誰かいる状況で私を呼ぶとは思えないけど。

「なんかあったの?」
「別に」
「ふーん」
「コーヒー」
「は?」
「コーヒー」

淹れろという意味か。
なんで花宮の家で私がコーヒー淹れるんだろう…と思いつつ、キッチンへ向かった。

勝手知ったる人の家というか。
コーヒーとマグカップをちゃっちゃと用意をする。
私はなんだかんだ、花宮に甘い。

「わっ!?」
「……」

淹れる準備をしていると、後ろからいきなり花宮が圧し掛かってきた。
危うくマグカップを落としそうになったけど、ギリギリセーフ。

「な、なに!?」
「…お前太った?」
「はあ?」

そう言って花宮は私のお腹をつまんだ。
く…っ確かにちょっと太ったけど!

「ふ、太ってません」
「嘘吐け」
「本当デス」
「じゃあこの腹は何だよ」

くそ…事実だけに言い返せない…。

「…ていうか」
「なんだよ」
「このままじゃコーヒー淹れられないんですけど」

マグカップと粉は用意したけど、ポッドは向こう。
花宮に抱き着かれたままじゃ、移動もできない。

「んなもん放っておけよ」
「…あんたが淹れろって言ったんじゃない…」
「知るか」

花宮は私の肩に頭を置いて、目を瞑る。
ああ、そうか。
家に呼んだのは、甘えたかっただけか。

「花宮」

名前を呼んでキスをすると、花宮は仏頂面を少しだけ緩ませた。
ああ、もう。
そんな顔するから、私もついつい甘やかしてしまう。









立ち入り禁止区域
13.07.15

ガマズミさんリクエストの悪態つきながら彼女にべったりな花宮でした
ガマズミさんありがとうございました〜!

タイトルは、花宮のデレ顔はヒロインしか見られない、ヒロイン以外立ち入り禁止区域、という意味です




配布元→capriccio



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