12月の中旬。期末テストも終わり、少し浮かれた気持ちで学校へ向かっていた。
けれど、角を曲がって校門が目に入った瞬間「学校行きたくない」に変わってしまう。
「うわー…」
風紀委員が取り締まりをやっているのだ。
うちの学校の校則は厳しい。
さすがに前髪をざっくり切られる…なんて時代錯誤的なことはないけど、スカートの短さや校則外の鞄や靴下は指導対象だ。
「スカート大丈夫かな…」
長すぎるスカートなんて可愛くない。そう思ってスカートを捲って短めにしてあるけど、これは指摘されてしまうかもしれない。
一応校則ギリギリの短さのはずだけど…。
とはいえ、ここで止まっていたら遅刻してしまう。
意を決して校門へ歩き出す。
「おはよう」
「おう、おはよ」
風紀委員である宮地にそう挨拶する。
「じゃ、頑張って」
「おい待て」
宮地に首根っこ掴まれる。
う…やっぱりダメか。
「お前スカート短くね」
「やだ!セクハラ」
「セ…っ!?」
そう言うと宮地は顔を赤くする。
よし、今だ!と思って抜け出そうとするけど手の力は緩めてくれていない。
「彼氏にセクハラとかねーだろ!お前スカート短けーんだよ!」
「短くない!多分!測ってみてよ!」
そう言って鞄からメジャーを取り出す。
服を買うときに何かと便利なので持ち歩いているのだ。
「オレが測るのかよ!?」
「当然でしょ!?」
「おま…できるかボケ!」
「なんで?」
「なんでって…そりゃ…」
宮地はもぞもぞと口ごもってしまう。
首を傾げていると、後ろから宮地の部活の後輩…高尾くんがやってきた。
「じゃーオレが測りましょうか?…っていてえ!!」
高尾くんがにっこり笑ってそう言うと、宮地が思いっきり高尾くんの頭を叩いた。
「いってぇ!」
「バカ言ってんじゃねえ!」
宮地が高尾くんを成敗しているうちに逃げよう。
そう思って忍び足で歩き出す。
「おい逃げんな」
「…くっ」
今ならばれないかもと思ったけど、あっさり捕まってしまう。
高尾くんは宮地の隣で苦い顔で頭を抑えている。殴られたんだろうか。
「私のスカートちゃんと校則破らないように測ってるから」
「だったら逃げん…なっ!?」
宮地が起こった顔でそう言った瞬間、強い北風が吹いた。
冷たい風が体を冷やすけど、それよりなにより衝撃的な出来事が。
スカートが、綺麗にひらりと風に乗ってめくれたのだ。
「………」
「………」
「……見た?」
恐る恐るそう聞くと、宮地はふいと顔を背けて、顔を大きな手で押さえて絞り出すような声で言った。
「…だから」
「……」
「スカート短けえって言ってんだろ…」
「…ハイ…」
次の日から、私のスカートは少し長くなってたのでした。
*
「…で、高尾」
「はい?」
「…見てねーだろうな」
「見てない、見てないっス!っていてて!?見てないって言ってるじゃないっスか!」
スカートひらり
14.12.16
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