「うまかったな」
「うん!」

8月2日。今日は大我の誕生日だ。
恋人の誕生日、何かしてあげたいと思っていろいろ考えた結果、大我の好きなもの=ご飯ということでご飯をおごってあげよう!ということになった。
まあ、大我の食べる量は半端じゃないので、食べ放題のお店だけどね。
そうじゃなきゃさすがに私のお金が持たない。

「食べ放題っていいよなー。金のこと気にせず食えるし」

店員さんが泣きそうな顔をしていたことは、大我には内緒にしておこう。
満足気に語る大我を見ながらそう思った。

「あ、大我アイス食べない?」

そんな話の最中、横目にサーティワンが見えた。
食後のデザートにアイスが食べたい。

「おう、いいぜ。オレおごる」
「えっ、いいよ誕生日なのに」
「いいって。今日のお礼。バイキングより全然安いし」

少しお店の前で押し問答したけど、結局私が折れることに。
大我の誕生日なのにいいのかなあと思うけど、大我がそう言うんだし…。

「私チョコミントで」
「オレはオレンジソルベ」

今日は店内が空いているので、持ち帰らず椅子に座って食べることにした。

「うまいか?」
「うん!」
「そっか。よかった」

大我はニカっと笑う。
笑った顔が見られるのは嬉しいけど、笑うようなことあったっけ?

「あ、いや…」
「?」
が幸せそうに笑ってんのいいなーって」

大我は少し照れたように笑う。
私も思わず叫ぶように言った。

「私もいっぱい食べる大我大好きだよ!」

ポッと大我の顔が赤くなる。

「ばっ、お前!声!でかい!」
「えっ」

大我は周りをきょろきょろしながら言う。
あ、そういえばお店の中だった…。
隣に座るおばさんが優しい顔でこちらを見ている。

「ご、ごめん…」
「い、いや…別にいいんだけどよ…」

二人して体を縮こませて、アイスの残りを食べる。

「…オレのも少し食うか?」

そう言って大我がカップを差し出す。

「う、うん。ありがと」

オレンジソルベは、甘酸っぱい味がした。









オレンジソルベ
14.08.02


10周年企画&ハッピーバースデー!





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