「いい天気だね」
「そうですね。お出かけ日和です」

とある週末。テツヤくんと二人で菜の花が見頃だという公園に来ている。

「花もきれいで、お弁当もおいしいです」
「ふふ、ありがとうございます」

花のよく見える場所にレジャーシートを敷いて、私の作ってきたお弁当タイムだ。
テツヤくんと出かけるときは、こういうところが多い。
私も彼も人混みはあまり好きではないし、こういった静かな場所で二人でのんいりしている。

「毎日の疲れが癒される…」
「毎日お仕事お疲れさまです」
「テツヤくんもね」

高校のときからの付き合いで、いつのまにか私もテツヤくんも社会人だ。
学生時代も部活があったから慌ただしかったけど、今の忙しさは学生時代のそれとは違う。

「あ」

前からボールが転がってくる。
それを追いかけるように男の子が駆けてきた。

「ごめんなさい!」
「はい」

そう言ってボールを手渡す。
どうやらお父さんとキャッチボールをしているようだ。

「なんか和むね」
「そうですね」

休日の公園は素敵だ。
仲のいい家族連れ、カップル、友達。
みんな楽しそうで、平和だなあと思う。

「素敵な家族だね」

さっきの男の子にもう一度目をやる。
お父さんとその子がキャッチボールする横には、お母さんと思われる女性が優しく微笑んでその光景を見つめている。
まさに絵に描いたような、素敵な家族だ。

「そうですね。ボクもさんと素敵な家族になりたいです」
「ね」

……。
……ん?

「え、え!?」

ふつうに返事しちゃったけど、今テツヤくんとんでもないこと言わなかった!?

「どうでしょう」
「え、え…」
「念のために言っておきますと、いつかの話ではありません」

テツヤくんは真剣な目で見つめてくる。
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。

「わ、私も」
「はい」
「…テツヤくんと、そんな家族になりたいです」
「…はい」

テツヤくんは私の手を握る。
うれしそうに笑いながら。

「緊張しました」
「私も」
「いつ言おうかずっと迷ってました」
「ずっと?」
「はい」
「気付かなかった…」
「気付かれないよう必死でしたから」
「そうなんだ?ふふ」

そう言って笑い合う。
ずっとこんなふうに、笑っていようね。










やさしい貴方へ
14.08.30


10周年プロポーズ企画!
元ネタは某牧場ゲームだったりします




感想もらえるとやる気出ます!


タイトル配布元→capriccio