大我のご飯は、おいしい。 「このカレーおいしい!」 「おー、サンキュ」 「餃子おいしいね!」 「皮から作ったからな」 「皮から!?」 「生姜焼きおいしい!」 「一回揚げるとうまくなるんだよ」 「へー!」 大我と付き合い始めて…何年だっけ。 とりあえず高校からの付き合いだから結構経った。 今はお互い一人暮らしで、たびたびお互いの家を行き来している。 外でご飯を食べるより、どっちかの家でご飯を食べることが多いんだけど、とにかく大我のご飯はおいしい。 最初は「彼女が彼氏より料理下手ってどうなの!?」と思ったけど、もうおいしいからいいやと思うようになった。 大我がご飯を作ってくれるたび、おいしいおいしいと毎回叫ぶように言っていたら、大我は「そう言われると作り甲斐あるよな」と言って毎回嬉しそうに作ってくれるようになった。 本当においしい。私って幸せ者だ! 「飯出来たぞー」 「わーい!」 大我に声を掛けられて見ていたテレビから目を離す。 今日は肉じゃがにわかめのお味噌汁だ。 「はー、大我のお味噌汁はおいしいねえ」 「おー、サンキュ」 「あー、大我のお味噌汁毎日飲みたい…」 幸せに浸りながら温かいお味噌汁を飲んでいると、大我は箸を落とした。 「どうしたの?」 「あ、いや…そうだよな。そんな年だよな…」 「?」 大我は赤い顔で呟く。 どうしたんだろう。 「…悪ぃな。本当はオレから言うべきなのに、お前から言わせるほど溜め込ませちまって」 「?」 大我から言うべき?溜め込む?何の話? 「そうだな。結婚しよう」 けっこん。 けっこん…。 結婚!? 「え!結婚!?」 「『え』って…え!?」 「え、な、なんの話!?」 何がどうなって結婚なんて話になってるの!? 「いや、だってお前、今毎日味噌汁食いたいって…」 「い、言ったけど…言ったけど!?」 言ったけどそれはそのままの意味で、そういう意味じゃなくってね!? 「今時そういう古風なプロポーズする人いないと思うよ!?」 「な、なんだよ!別にいいだろ!」 「いやだって…!」 二人して真っ赤になりながら言い合いをする。 だって、だってだって…! 「…っ、悪かったな先走って!結婚とか…まだはえーよな」 「えっ」 大我の言葉に焦って彼の隣に行く。 「早くない!」 「え」 「したい!結婚!!」 大我の腕をぎゅっと掴んだ。 大我は少し恥ずかしそうな顔をする。 「大我の作ったお味噌汁毎日飲みたい!」 「お、おお…」 大我は私の方に向き直す。 「…」 「は、はい」 「…結婚して、くれるか」 「はい!」 ぎゅっと大我に抱きつく。 そのあと一緒に飲んだお味噌汁は、冷めてしまったけどおいしかった。 二人分の 14.06.14 10周年企画! 火神の作ったお味噌汁を毎日飲みたいです ![]() 感想もらえるとやる気出ます! タイトル配布元→capriccio |