「えーと…コーヒーは…」
放課後、辰也の家に来た。
辰也がのどが渇いたというのでコーヒーを淹れようと思ってキッチンに来た。
辰也にはいつも飲み物を淹れてもらってるし、たまには私が淹れようと思って辰也に申し出たのだ。
「確かここに…」
以前にも何度か淹れたことがあるので、場所はわかる。
辰也の好みの濃さにして、自分の分はミルクを入れて、辰也の部屋に向かう。
「お待たせ」
「ありがとう」
辰也の部屋に入ると、彼はベッドに腰掛けていた。
熱いコーヒーを手渡すのは危ないから、ベッドサイドの小さなテーブルに置いた。
「あ」
「?」
「、髪にホコリついてる」
「えっ」
そう言われて、自分のカップもテーブルの上に置いて慌てて髪を探る。
「そこじゃない」
「うー…」
「おいで」
そう言われて、ゴミを取ってもらおうと辰也に近付く。
「こっち」
「わっ!」
「」
ぐいと腕を引き寄せられる。
バランスを失った私の体は、辰也の方へと倒れ込む。
辰也は私の体を受け止めて、自分の膝の上に乗せた。
「はい、取れた」
「あ、ありがとう」
辰也は私の耳の後ろに触れて、ぽいとゴミを捨てる。
だけど、辰也は私を離そうとしない。
「た、辰也」
「ん?」
「コーヒー、冷めちゃうよ」
ゴミを取った後も辰也はうれしそうに私の顔に頬をすり寄せてくる。
くっつくのはかまわない…というか嬉しいんだけど、せっかく淹れたコーヒーが冷めてしまう。
「こうするの、想像以上に良かったから」
「良かったって」
「が近くて、いいな」
嬉しそうな顔でそういわれると、私も絆される。
でも、
「あの、でも」
「?」
「お、重くない…?」
今、私の体重はすべて辰也にのしかかっているわけだ。
重いとか思われていたら、死にたくなる。
「軽いよ」
「ぜ、絶対軽くない!」
今体重は過去最高を記録しているし、重くないはずがない。
恥ずかしくて体をもぞもぞと動かしてしまう。
「わ、動いたら落ちるよ」
「だって」
「こら」
辰也は私を抱きしめる腕を強める。
体が固定されて、動けない。
「重くないって言ってるのに、オレのこと信じられない?」
そう言われてしまうと、何も言えない。
仕方ないので、辰也に体を預けることにした。
「いい匂いだ」
「…そう?」
「うん」
辰也は嬉しそうに私の頬にキスをする。
ぽっと頬が熱くなるをの感じた。
「……」
「?」
辰也の顔を見上げる。
綺麗な顔だ。
「…!」
首を伸ばして、辰也の唇にキスをする。
「突然だね」
「…いけない?」
「嬉しい」
今度は辰也からキスをする。
なんか、いいな。
幸せだな。
14.09.19
10周年リクエスト企画のヒロインを膝に乗せる話でした!
Shellさんありがとうございました!

押してもらえるとやる気出ます!
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