朝の話
「、起きて」
ダイゴさんの優しい声で、目を覚ます。重い瞼をゆっくり開けると、「もう朝だよ」と笑うダイゴさんの姿が目に入った。
「ん……」
「眠そうだね。まだ寝るかい?」
「んー……、起きます……」
そう言ったはいいものの、自分のものと違いダイゴさんの家のベッドはふかふかだ。柔らかいマットレスから眠い体を起こすのは簡単なことではない。ベッドに寝転がったままでいると、ダイゴさんは私の頭の横に手を突いて、ふっと笑みを作り私に覆い被さった。
「お姫様には目覚めのキスが必要かな」
「!」
寝起きの頭には甘すぎる言葉に、私は思わず飛び起きた。眠かった頭も一気に覚醒して、心臓は小さく早く鼓動を打っている。
「残念、起きちゃったか」
ダイゴさんは言葉とは裏腹にくすくすと笑いながら、私の髪を撫でる。そのまま顔を近づけて、彼の額と私の額がくっついた。
「おはようのキスはどう?」
「……結局キスするんです?」
「きみが嫌ならしないよ」
その言葉の通り、私が嫌と言えばダイゴさんは今の笑顔を崩さないまま「わかったよ」と言ってくれるだろう。
少しの間考えて、私は自分からダイゴさんの唇にキスをした。一瞬のキスの後、目を開ければ笑顔のダイゴさんが目に映る。
「おはよう」
「おはようございます」
言葉の後に、再び唇が触れる。甘い一日の始まりだ。