朝目が覚めたら、最初に土方さんのところへ行って、挨拶をするのが私の日課。おはようございます、ってただ言うだけだけど、そこから話が膨らんだりすることはないけれど、それでも毎日、土方さんの部屋まで行って、ノックして、少し戸を開けて、笑っておはようございますって言って、土方さんがおう、ってそれだけ言う。何でもないことだけど、大切なことだった。今日も目が覚めて、土方さんの部屋の前まで行った。電気が付いてるのを確認して、二回ノックをする。

「誰だ?」
です」

そう言って、少し戸を開けて。

「おはようございます」
「ああ」

土方さんは大抵私のほうを見ない。だけど、なんとなくそれが嬉しかった。面倒だからとかそういう意味でこっちを向かないんじゃなくて、ただ私がここにいることを見なくてもわかってる、そんな感じ。

「じゃあ、行きますね」

戸を閉めて、部屋に帰ろうとしたらまた戸が開いた。私が開けたんじゃなくて、土方さんが開けた。

「…お前、どうして毎日来るんだよ」
「だめですか?」
「だめじゃねぇけど」
「じゃあ、いいじゃないですか」
「けどなぁ…」

土方さんは頭を乱暴に掻く。

「もし明日、俺がいなくなってたら、こうやって毎日会ってたら余計つらいだろ」

ああ、やっぱり、思ったとおりのことを言うんだな。土方さん、何もわかってないですね。

「もし、土方さんが私よりずっとずっと先に死んで、すごく寂しい思いをしたとしても、私は今こうしてることを後悔しません」

精一杯の笑顔を向けたら、土方さんは私の頬に手を当てた。土方さんの手は、冷たい。
明日この手に触れられなくても、いつか寂しいと感じることになっても、誰よりあなたが好きだから、私はまたあなたに会いに来る。















そして僕は孤独であったかもしれないと


























07.01.10
もう土方さんで甘いの書ける気がしな い …