「今日は肌寒い一日となりましたが明日は気温が上昇し、上着のいらない一日となるでしょう」 テレビの中のお天気お姉さんが明日の予報を告げる。暖かくなったり寒くなったり。候の変わりやすい3月。ふと窓の外を見ると、白く散る雪。 「土方さん!雪!雪ですよ!」 「はぁ!?もう3月だぞ?」 「でも確かに雪ですよ。ほら、窓の外」 静かに降る雪。さすがに積もりはしないけど、綺麗。 「綺麗ですねー」 「そうか?寒いじゃねぇか」 「…どうしてそういうこと言うんですか」 「本当のことだろ」 確かに寒い、けど、久しぶりに見た雪をもっと近くで見たい。 「外、出るのか」 「玄関の前までですよ」 「俺も行く」 「寒いですよ?」 「知ってるよ」 戸を開けると、ひんやりした空気が肌をなでる。雪は地面に落ちては消えていき、私の肌に触れた雪も消えていく。 「雪だるま、作れませんね…」 「作る気だったのか?」 「いいえ、子供たちが、ですよ」 近所の子供が作る雪だるま。顔がそれぞれ違くって、見ててとても面白いのに。 「あ…」 「お」 「もう、雨になっちゃいましたね…」 「そうだな」 寒くて、くしゃみをすると、土方さんは私を抱きしめる。 「土方さん?」 「寒いんだろ?温めてやるよ」 自分の顔が赤くなるのがわかる。土方さんの腕の中は、暖かい。 「明日から暖かいってな」 「もう、雪は見納めですね。寂しいな…」 「雪なんていらねぇよ」 「え?」 「お前がいれば、何もいらねぇよ」 土方さんは、そう言ってキスをする。私も、この世界と土方さんがいれば何もいらない。 いてゆるむ世界と、 06.03.26 さすがにもう雪は降りませんよね… |