蝉の声が耳を突く。痛い痛い痛い、頭が痛い。 強い日差しが肌を刺す。痛い痛い痛い、肌が痛い だから夏は嫌いなの。 「土方さん」 お墓を洗って、お線香に火を付けて花と煙草を供えて、 「今年も夏は暑いですね」 お墓に話しかけて、ない答えを待つ。 「土方さんがいなくなって、もう3年も経つんですね」 「去年は私、当日に来れないかと思いましたよ」 「でも、ちゃんと間に合ったんですよ。覚えてます?」 「夜遅いからって、近藤さんが一緒についてきてくれて。お仕事忙しいのに」 「今年は、一緒には来れないって、遅くなるって言ってましたよ」 「そう、この間、総悟くんが小さい子に剣術教えてたんですよ」 「まさか総悟くんがそんなことするなんて、驚いちゃって」 笑いながら、土方さんに話したいことを全部話してく。たくさん話したいことがあって、ずっと、我慢してたことも言って。 「今でも、土方さんがいないと、」 「寂しい、です」 前より土方さんがいない毎日に慣れたけど、やっぱり寂しくて、私は、今でも土方さんが好きなのだと実感する。 「土方さん」 「愛しています」 私は土方さんのお墓の前から離れて、流れた涙をぬぐった。 土方さん、来年もまた、この日に来ますね。 空に埋もれる 06.08.24 |