の部屋にはいつも花がある。女らしいっちゃそうなんだろうけど、花なんか眺めて何が楽しいのか、俺にはちっともわかんねぇな。 「土方さん、お花嫌いなんですか?」 「別に嫌いじゃねぇよ。興味ねぇだけだ」 「私にしてみれば同じですよ」 「だってなぁ、こんなもん見たってなんにも感じねぇよ」 「あ、ひどい。一生懸命世話してるのに」 「お前だって刀とか興味ねぇだろ。それと同じだろ」 「…そっか」 は納得したように相槌を打つ。いくら恋人の好きなものでも、そのものを好きになれるとは限らない。例えばは写真を撮るのががやたら好きだが、俺は別に好きにはなれない。が好きだから俺もそれを好きになるなんてことはあまりない。確かにもともと興味なかったものに興味を持つようになったことだってあるが、基本的には興味ないままだ。 「土方さんは流されない人ですね」 「お前もだろ」 「そうですか?」 「ああ」 「でも、確かに刀とかに興味はないですけど、土方さんが刀を持ってるのは好きですよ」 「はぁ?」 「刀が土方さんをよりかっこよくさせる、みたいな感じです」 あ、もちろん、もともとかっこいいですよ、とは笑いながら言う。ああ、なんとなくわかったかもな。花なんて見たって何も感じない。けど、と花を一緒に見ると、少し花も綺麗に感じるのは、そういうことか。 「」 の名前を呼んで、キスをする。の唇は つぼみのようにやわらかい。 やわらかなつぼみ 06.05.25 |