夢を、見た









夢を見させて、今だけでも









いつも見る夢は同じ。私の隣に土方さんが居て、土方さんの隣に私がいる。大好きなあなたが、私の隣で微笑んでくれる。私に話しかけてくれる。 とても幸せな夢。だけど起きる度、私の枕は涙で濡れている。

「土方、さん」

もう名前を呼んでも届かない。

「土方さん」

大好きなのに 今でも愛してるのに、どうして、私の手はあなたに届かないの?
ついこの間まで繋いでいた手も私を抱きしめてくれた腕も、もうあなたはどこにもいない。
土方さん 私は今でも覚えています。護衛だなんだって中々行けなかったけど、一回だけ一緒に行ってくれた夏祭りも、一緒に見たたくさんの紅葉も、あの降り積もった雪も、あの桜の花びらも、土方さん、今もあの時と同じようにたくさんの花が咲いていますよ。
だけど たった一つ思い出せないものがあるんです。

あなたのぬくもりだけは どうしても思い出せない。
お願いです もう一度、私を抱きしめてください。

「土方さん」

わかってる それは叶わない夢だとわかってる。だから今だけは、もう一度眠らせてください、夢を見させてください。
あなたと会えるのは 夢の中だけだから。












06.05.08