今日も天気がいいなぁと思いながら、縁側に座って煙草の火を点ける。煙は空へ舞って行って、いつしか見えなくなった。 「土方さん、また煙草吸ってる」 後ろから声が聞こえてきた。女中の、の声だ。 「うるせぇな」 「うるさくないです。早死にしちゃいますよ?」 煙を吐いたら、が嫌そうな顔をする。そういや、いつも俺が吸うたびにこんな顔してたか。 「煙草嫌いか」 「土方さんの寿命を縮めてると思うと嫌いです」 俺は思わず吹き出してしまった。いきなり何を言い出すんだこいつは。 「は?」 「だって、土方さんはいつ死んじゃうかわからないような仕事してて。それでその上煙草吸ってて。本当にいつの間にかいなくなってそうな気がします」 は俺の肩に頭を置く。 「土方さん、明日から出張ですよね?」 「ああ」 「ちゃんと帰って来てくださいね?」 「ああ」 の目には涙が溢れてる。俺は煙草の火を消した。 「いいんですか?消しちゃって」 「お前が吸うなって言ったんだろ」 「そうですけど、煙草吸ってる土方さんも好きですから」 「何だそりゃ」 少し、沈黙が流れる。 「土方さん、本当は」 「あ?」 「別に煙草吸ってても吸ってなくてもどっちでもいいんです」 「?」 「土方さんが、私の隣に居てくれれば、それだけでいいんです」 は目を閉じた。溢れていた涙が流れている。 「」 「昨日、怪我して帰ってきたでしょう」 「ああ、でもあのくらい」 「あのくらい、じゃないです。どれだけ心配したと思ってるんですか」 「…悪い」 「お願いだから、心配かけないでください」 「ああ」 「土方さんが、死んじゃうかと思ったんですよ」 俺はの涙を拭った。 「ちゃんと帰ってくるから、心配するな」 そうは言っても、俺が真選組にいる限り、の不安が潰えることはない。だから、こうやって抱きしめることでしか安心させてやる方法を知らない俺が不甲斐なくて 「今日は、ずっと一緒にいてやるから、もう泣くな」 「…はい」 俺との影がゆらゆら揺れてた 揺 れ る 06.01.10 土方さんだけじゃなく真選組の人たちを恋人にするのは実際辛いと思います だっていつ死ぬかわからない仕事をしてるんですから |