土方さんはいつもいつも私のことを子ども扱いする。いきなり頭撫でて来たり、ガキは煙草嫌いだろと言って私の前では煙草を吸わなかったり、どうせ飲めないからと言ってコーヒーを私だけに出さなかったり(ブラックは飲めないけど砂糖入れれば飲めるのに!) そんな感じで、とりあえず土方さんはいつも私のことを子供扱い。確かに私は土方さんより年下だけど、同い年の子には結構大人っぽいねって言われるのに。 そんなわけで、今日も土方さんが出してくれたカップに入っていたのは牛乳だった 「……土方さん、私コーヒー飲めるんですけど」 「砂糖出すの面倒だ」 「だからって牛乳はないでしょう」 「別にどうでもいいだろ。せっかく出してやったんだ、飲め」 そう言われて出された牛乳を一口飲んだ。なんとも言えない感じが口の中に広がる。正直牛乳好きじゃないんですけど、そう言ったら「さすがガキは我が儘だ」と言われた。ほらまた子供扱い。 私は確かに煙は嫌いだけど土方さんの煙草吸う姿は好きだし、牛乳より砂糖入れたコーヒーのほうが好きなのに。何となく土方さんは私のことわかってくれてないのかなぁと思ってしまう。 「土方さん、あんまり子供扱いしないで下さい」 「しょうがねぇだろ、お前子供なんだから」 「言われるほど子供じゃありません」 「そう言う奴は子供なんだよ」 う、と息を止めてしまった。確かにそうかもしれない。子供ほど自分は子供じゃないと言うものだ。じゃあ私は土方さんよりずっと子供だと言うのは認めよう。私は年齢的にも精神的にも土方さんより子供。だけど、それでも。 「私は、頭を撫でられるより抱きしめられるほうが好きです」 頭を撫でられるとき、ふと思う。その腕が、私の体を抱きしめてくれたらなぁ、と。 一応私と土方さんは付き合ってるはずなのに、土方さんは私を抱きしめてくれたりとかそういうのが少ない。抱きしめて、キスをして、そう願うのは私だけ? 「抱きしめてくれってか」 「はい」 「お前が俺の年齢追い越したら考えてやるよ」 「…それ一生無理ってことですか?」 「ネバーランドにでも連れて行けばいいじゃねぇか」 土方さんの言葉に思わず吹き出してしまった。ネバーランドって、土方さんがネバーランドって、何だかとても。どうしたら土方さんをネバーランドに連れて行けるんだろう。ああ、こんなことを真面目に考えてる辺りやっぱり私は子供なのかもしれない。 「どうやったら連れて行けるんですか?」 「自分で考えろ」 「…じゃあ、これで」 「影取った」そう言って土方さんの隣に行って、キスをした。 そしたら土方さんは私を抱きしめ返す。意外と簡単にネバーランドに行けたようだ。 |