「日本のバレンタインは素晴らしい日ですね」


     今日はバレンタインなので、Lにチョコをあげたら嬉しそうに言ってきた

     さすが甘いもの好きね


     「ちゃんと食べてね」

     「はい」


     Lがチョコを口に運ぶ様子を凝視する

     この甘いもの好きは、どういう反応をするのかしら


     「…

     「なあに?」

     「これは本当にチョコですか?」

     「チョコよ。ビターチョコ」

     「…不味いです」


     案の定Lはチョコを吐き出した

     人がせっかくあげたのに、もったいない


     「嫌がらせですか?」

     「まさか」

     「私が苦いもの嫌いなこと、知ってるでしょう」

     「嫌いなものでも、私があげたものなら食べてくれるかなって」


     まあそれは半分冗談で

     ちょっとLに嫌がらせをしてみようといういたずら心が大半だ


     「…本当ですか?」

     「本当よ」

     「じゃあ頑張って食べます」


     Lはそう言って嫌そうな顔で必死にチョコを食べる

     さすがにこれは可哀相かな


     「そんなに無理しなくて良いわよ?」

     「いいです。全部食べます。その代わり」

     「何?」

     「食べ終わったら、もっと甘いものをくださいね」


     Lは私の耳元で囁くと、またチョコを食べ始める

     不味いのに、必死に食べてる姿が妙に可愛い


     「ね、早く食べ終わってね」

     「せっかちですね。そんなに私に食べられたいんですか?」

     「悪い?」


     Lは目を見開いて、私のほうを向いた


     「悪くないです」


     そう言って、私にキスをする


     ああ、早く抱きしめてくれないかしら


























     早く、早く
     07.02.05