「だから、もし私があなたに名前を教えたとしても、あなたがそれを呼ぶことはできないんです」
そんなのわかってるよだけどそれでも好きな人のことだもの知りたいと思うのそれはいけないこと?
私がどんなに反論してもLは本当の名前を教えてくれない
それはしょうがないことかもしれないけど、私にはどうしようもなく悔しくて
「、聞いてますか?」
「聞いてます。でも納得できません」
「あなたにしては珍しいですね、こんなに聞き分けがないなんて」
確かにそうだ、私はいつだってどんなときだってこんな頑なになったことはない
でもそれだけ私はLの名前が知りたいということなんだ
Lの言い分はこうだ
私は人に名前を言うことができない、名前を言ってしまったら自分の身が危険になるから
私が死んだら、もちろん私だって死ぬのは嫌ですし、世界に迷惑がかかる
わかりますね?自慢でもなんでもなく私一人死ぬということは世界に多大な影響を及ぼすことになる
だから言えない
もちろんあなたが他の人に私の名前を漏らすとは思っていません
だけどあなたに私の名前を教えたところであなたは絶対に私の名前を呼んではいけない
呼ぶことができない名前なんて名前ではない
だから、教えても仕方ない
その説明をもう3回くらい聞いた、でも納得できない
「L、名前を呼びたいとは思っていません」
「呼べない名前なんて名前じゃないです」
「それでも知りたいんです」
「でも名前なんてただの記号みたいなものですよ?」
「それでも知りたんです」
「…どうしてそんなに知りたがるんです?」
「好きな人のことを知りたいと思うのは当然です」
「どうしても気になる?」
「そう」
「呼べなくてもいいんですか?」
「構いません」
「本当に?」
「呼ぶことより知ることのほうが重要です」
Lは間を置いて、私の隣に座る
「絶対に呼びませんね?」
「ええ、絶対に」
「じゃあこれは二人だけの秘密ですよ?」
「 」
耳元で囁かれた彼の名前は、まるで何か歌のようで
「満足ですか?」
「ええ、とても」
ラブソング
06.11.06