遠くの方で除夜の鐘が聞こえる。
大晦日の深夜。
辰也と二人、二年参りに来ている。

「除夜の鐘だ」
「本当だ、聞こえる」
「辰也の煩悩がなくなりますように…」
「ひどいなあ」
「私の身が持ちませんって」

辰也はちょっと煩悩あり過ぎだからね。
少しは控えてもらわねば…。

「お参りはまだ早いんじゃないの?」
「今のは仏様だから!お正月は神様ね」
「日本はフリーダムだ」

辰也は苦笑する。
確かにクリスマスもあってこれだから、そう言いたくなる気持ちもわかる。

「わ、人いっぱい」
「いつもこうなの?」
「んー…二年参りって初めてだから。お昼に初詣は何度もあるけど」

時計を見る。もう少しで新年だ。

「もう少し」
「……」

カウントダウンだ。
煩悩とか、ちょっといい加減にしてよと思うことはたくさんあるけど、
今年の最後の瞬間、辰也といられてよかった。
新年を一緒に迎えられることが、嬉しい。
3、2…。

「い…」

カウントダウンの最後、顔を上げる。
いち、そう言う前に、キスされた。

「!」
「おめでとう」
「…っ!」

ちらちらと、周りにいる人がこちらを見る。
……!

「ば、バカ!」
「ええー…」
「煩悩消しなさいよ!バカ!バカ!!」

辰也を思い切り叩く。この人は…!

「み、みんな見てるし!バカ!」
「明けた瞬間はさ、とくっついてたいなって」
「…!」

辰也は嬉しそうな顔で笑う。
た、辰也は、本当に…!

「もう、やだ、バカ!帰る!」
「ここまで来て?」
「…は、早く済ませる!」

辰也の手を引く。
もう…!

「来年も一緒に年越ししようね」
「…っ」
「もっとくっつきたいな」

その言葉で頭が爆発した。

「来年!来年は神社じゃなくてお寺行きましょう!」
「お寺?」
「全部煩悩消してもらいなさい!」

そんなこと言いつつ、次の年は、多分そういうことです。









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13.12.31

今年もお世話になりました
煩悩消してもらうべきなのは私か氷室さんかどちらですかね



そういえば去年もこんな話書いてましたね 私と言うやつは…
ちょっと除夜の鐘聞いてきますね



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