11月11日はポッキーの日、ということで、友達からポッキーをもらった。

「あ、敦、ポッキー食べる?」

部室へ来た敦にポッキーを出す。
敦はお菓子好きだし、喜んで食べるだろう。

「いらない」
「え?」

敦がお菓子を断る…!?

「熱でもあるの?大丈夫?」
ちん、オレのことなんだと思ってんだし」

敦が口を尖らせる。
だって、いつもお菓子食べまくってる敦だし…。

「まだ死にたくないから〜」
「?」
「室ちんとポッキーゲームするように取っておきなよ、それ」
「な…っ」

ぽ、ポッキーゲームって…、あれ!?

「やらないよ!?」
「室ちんはやりたがるんじゃない〜?」
「やらない!やりません!」
「ポッキー全部使ったら何回チューするんだろうね〜」
「敦…!」

机をバンと叩くと同時に部室のドアが開く。
そこにいるのは、よりによって、辰也。

「?二人ともどうしたの」
ちんが室ちんとポッキーゲームしたいんだって〜」
「!ち、違う!」
「ポッキーゲーム?」

辰也は私の持つポッキーを見て笑う。

「あれだろ、端から二人で食べていくアレ」
「べ、別にやりたくない!このポッキーそういうんじゃないから!」
「ふうん?」

辰也は私の隣に座る。
ちょ、ちょっと、待って。

「オレは帰るね〜お疲れ様ー」
「ああ、また明日」
「え、ちょ…っ」

敦はそそくさと部室を出て行ってしまう。
残されたのは、私と、辰也と、ポッキー。

「したくないの?」
「だ、だって」
「本当にしない?」
「…っ」

辰也は私の手から一本ポッキーを取ると、私の口に咥えさせる。

「ひょ、ひょっと」
「折ったら負けだから、負けたらなんでもいうこと聞いてね?」
「へっ」

辰也は反対側を咥える。
負けたらなんでも、って。

戸惑っているうちに、辰也はどんどんこちらのほうへ。
かと思ったら止まって焦らしてみたり、また進んでみたり。
一方私は進むこともできず、かといって折るわけにもいかず、ただ慌てふためく。
辰也はそんな私を楽しそうに見ている。

もう、少しでくっついてしまう。

あと、3cm。

私はぎゅっと目を瞑った。


「…あれ」

ポキ、という乾いた音がして目を開ければ、ポッキーは私の唇すぐそこで折れている。
私は何もしていない。動いていないんだから。
折ったのは、辰也。

「オレの負け」
「え…」
の言うこと、なんでも聞くよ?」

辰也は意地悪な顔でそう言う。
私の唇を、なぞりながら。

「……バカ…」
「ふふ、何がいい?」

そんなの、答えは一つだ。
辰也は、本当に意地悪。

「…キス、が、いい」

顔を真っ赤にしてそう言うと、辰也は笑う。
触れる直前だった唇が。
もう少しで触れるはずだった唇が、寂しい。

「普通にキスする?それとも」
「!ば、バカ!」
「ははっ」

辰也はもう一本ポッキーを取り出して、チョコのついたほうを私の口に。
唇が触れるまで、あと、13cm。














13cm
13.11.11

ポッキーの日!ポッキーは13.5cmらしいので
キリをよくして13cm
しかしバカップル〜この人たちは部室で何してるんですか





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