「うーん…」

買い物に来た帰り、サーティワンの前で立ち止まる。
アイス食べたい。できれば、二つ。
でもさっきお腹いっぱいお昼を食べたばかり。二つはきつい…。
そうなると、食べたかった二つのうち、どちらにしようか迷ってなかなか決められない。

「うーん……」
?」

うんうん唸っていると、後ろから声を掛けられた。
誰だろう、そう思って振り向いて、心臓が跳ねる。

「ひ、氷室…」
「アイス食べるの?」
「あ、うん…」

まさか氷室がいるとは思わず、うまく返事ができない。
…うんうん言ってたの、聞かれてしまったんだろうか…。

「えっと…氷室もアイス食べに来たの?」
「いや、たまたま通りかかったらがいたから」
「そっか」
、どれにするの?」
「…二つまで絞ったけど迷ってて…」
「どっちも食べれば?」
「さっきお昼食べた後だから、さすがに入らないんだよね」
「そう?オレ、平気だけどな」

そりゃ、氷室は体も大きいし運動部だし、食べる量は違うんだろう。
私は一応これでも女子なので、食後のアイスにダブルはちょっときつい。

「どれで迷ってるの?」
「これとこれ」

そう言って二つのフレーバーを指さす。

「へえ…オレこっち食べたことないな」
「そうなの?」
「じゃあさ、オレ、こっち食べるから、少しあげるよ」
「え?」
「そうしたらどっちも食べられるだろ?」

ま、まさかの展開…!
氷室とアイス食べ合いっこ…。
顔がにやける。どうしよう。

「ああ、ごめん、嫌?」
「ま、まさか!ていうか、氷室こそいいの?アイス食べに来たわけじゃないのに…」
「いいよ。これ、食べてみたいし」
「そ、そっか」

そう言って二人でアイスを頼む。
私はチョコミントを、氷室はラブポーションサーティワン。

「はい」
「あ、ありがと…」

そう言って氷室の手にあるアイスをスプーンで取ろうとする。

「こら」
「え?」
「こっち」

氷室は自分のスプーンでアイスを掬うと、私の口の前に持ってくる。

「え、」
「ほら」

こ、これは俗に言う「あーん」ってやつじゃないですか。
これを、ここで、私と氷室がやるの!?

「え、ちょ、ちょっと待って」
「早くしないと溶けちゃうよ?」
「え、あ」
「はい」

ずい、と氷室はスプーンを近くに持ってくる。
もう、食べるしかない。
顔を赤くしながら口を開けた。

「おいしい?」
「う、うん…」

正直味なんてわかりません…。

「…どう?」
「え、お、おいしいよ」

もう一度そう言うと、氷室は「そうじゃなくて」と苦笑する。

「ねえ、ラブポーションの意味知ってる?」
「?」

一瞬考えて、ハッとする。
ラブポーション、って。

「え、あの」

ラブポーションは、恋の媚薬。
それを食べさせたと言うことは。

「ねえ、効いたかな」

氷室は楽しそうに聞いてくる。
…こんなの、なくたって。

「…もう、効いてるよ」
「オレもね」











恋の媚薬
13.04.29

私はサーティワンの回し者です
サーティワンアイス食べたい…
ラブポーションサーティワンめっちゃおいしいのオススメです




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