大晦日の夕方、一年最後の日に恋人の顔を見たいしと思って辰也の部屋に来ていたけど、さすがに高校生。
こんな日に泊まるわけにもいかずそろそろ帰ろうと立ち上がると辰也が名残惜しそうに口を開く。
「もう帰っちゃうの?」
「そりゃ、もうこんな時間だし」
外はもう真っ暗。
帰らないわけにはいかない。
「もうちょっといなよ」
「でも」
「寂しいな」
「わっ!?」
ぐい、と腕を引っ張られて気付けば氷室の腕の中。
いやいや、だからダメだって!
「た、辰也」
「一緒に年越ししようよ」
「…で、でも私たち高校生ですし」
「今年最後に見る顔も、来年最初に見る顔もがいい」
そう言って辰也は私の頬にキスをする。
辰也はときどきやたら甘えん坊だ。
「…でも」
「今日オレのとこ行くって言ってないんだろう?」
確かに、彼氏のところに行ってくるとはなんとなく言い難くて、家族には友達に会ってくると言ってきた。
でもね、ここで帰らないとかなんかその…。
「適当に言いなよ。二年参りだっけ?あれしてるとか」
「でも」
「本当はだってオレと同じ気持ちだろ?」
うわ、その表情で、そのセリフは反則だ。
「う、うん…」
「はい、決まり」
辰也はにっこり笑うと今度は私の唇にキスをする。
…なんか、ものすごく悪いことをしている気分だ。
どうにか罪悪感を打ち消せないものかと思考を巡らせて、一つ思い付く。
「ねえ、じゃあ本当に二年参り行かない?」
「行かない」
「そんな即答しなくても」
「部屋でとこうしてたいから」
こうしていたい、ってそれはもちろんこうやって抱きしめあうだけで終わるはずもなく。
いや、ね、一緒にいたいけど嘘吐いて外泊してこれはちょっとね!?
本当にお参りに行くならちょっとは堂々としていられるって言うか…。
「た、辰也」
「ん?」
「あの、この手がちょっと、あれかなって…」
辰也の手はいつの間にか私の服に手を掛けていて。
これはもうどう考えても…。
「二人きりなのに、何もしないってなんて無理だよ?」
「辰也は除夜の鐘聞いたほうがいいと思う!」
一回煩悩打ち払ってもらって来てください!
そう言うと辰也は目を丸くした後、悪戯っぽく笑った。
「聞いたって意味ないよ、きっと」
「いいから一辺聞いた方がいい!」
「だって、がそこにいる限り、煩悩なんてなくならないよ」
今度は深いキスをする。
ここまで来たら、もう、逃げられない。
「それに、も一緒だろ?」
「え?」
「同じ気持ちだって、言ったじゃないか」
オレと同じ気持ちって、そういうことだろ?
辰也の言葉に私は顔を赤くするだけで反論できなかった。
カウントダウン
12.12.31
最近こういう話ばっか書いてる気がします
感想もらえるとやる気出ます!
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