ソファで花宮と並んで座る。
花宮は小難しそうな本を読んでいたけど、飽きて来たのかあくびを一つ。
「…なんだよ」
「んー?」
私も暇で、花宮の肩に寄りかかってみる。
そうしたら案の定小突かれた。
「うぜえ」
「だって暇なんだもん」
「オレは本読んでんだよ」
「あくびしてたじゃん」
「お前に引っ付かれるより本のがマシ」
花宮は意地悪な笑みを浮かべてそう言い放つ。
「…ねえ」
「…なんだよ」
「今日エイプリルフールだって、知ってた?」
そう言ってみると、花宮は一瞬固まった。
忘れてたな、こいつ。
花宮みたいな頭のいい人って、こういう世俗的習慣に縁がなかったりするよね。
「うぜえっつってんだろ!」
「だって本より私に引っ付かれるほうがマシなんでしょー」
「言ってねえ!引っ付くなっつーの!」
「え?もっとくっつけ?」
「言ってねーよ!」
やんややんやとじゃれ合い。
花宮は頭がいいくせに、こういうところ子供みたいだ。
「ねえ」
「なんだよ…」
ちょっと呆れたような声で花宮は答える。
私はぎゅっと花宮を抱きしめる。
「私のこと、嫌い?」
そう言ってみると、花宮は驚いた顔をする。
「大っ嫌いだよ」
いつも素直になれない彼の、今日だけの愛の言葉。
「大嫌い」
13.04.01
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