学校帰り、花宮が私の部屋に来た。
彼の好きなコーヒーでも持ってきてあげよう、そう思ってキッチンで用意して部屋に帰ってきてみると、花宮がベッドの脇に寄りかかって眠っていた。

「…めずらしー」

こうやって寝顔を見ていると年相応なのになあ、と思いながら彼の寝顔を眺める。
起こすのも可哀相だし、明日は休みだから夜眠れなくてもあまり問題ないし、寝かせたままにしておこう。
この体をベッドに持って行くのは無理なので、毛布だけ掛けて置いた。

「…苦い」

花宮の隣に座って、彼のために持ってきたブラックコーヒーを飲む。
いつも砂糖を入れて飲むから新鮮だ。
でも苦手な味じゃない。全部飲み干して、カップを机の上に置いた。

さて、彼も寝てしまったしどうしよう。
花宮から借りた本の続きでも読もうかな。







「…あれ」

本を読んでいる途中、いつの間にか眠っていたようだ。
目を擦って頭を覚醒させようとすると、膝にずっしりした重みを感じる。

「ねえ」
「なんだよ」
「なんでいきなりこんなことになってるの?」
「知るかよ」

いつの間に起きていたのか、花宮は私の膝に頭を乗せている。
彼の前髪を撫でると、くすぐったそうに目を細めた。

「あれ」

そういえばなんだか暖かい。
気付けば私の体にさっき花宮に掛けた毛布が掛かってる。

「花宮、寒くないの?」
「お前薄着だから見てるこっちが寒いんだよ」
「ちょっと待って」

ベッドの上にあるもう一つの掛布団を取ろうと少し体を動かすと、花宮は私の腕を掴む。

「毛布、取るから」
「いいっつってんだろ」
「取るだけだから別にどこも行かないよ」
「んなこと言ってんじゃねーよ」
「はいはい」

この格好で凄んでみても何の迫力もありませんよ。
そう言いたかったけど、その言葉は飲み込んでおいた。

「ねえ、せめてブレザーとか掛けてよ。見てるこっちが寒いんだって」
「………」

そう言うと花宮は体はそのまま腕を目いっぱい伸ばして置いてあったブレザーを取った。

「…これでいいのかよ」
「うん」

無造作に掛けたブレザーを綺麗に掛けなおす。
すると、人差し指でちょいちょいと「こっちに来い」と示すので、顔を少し寄せる。

「もっとだよ」
「…何する気?」
「決まってんだろ」

花宮はぐいっと私を引き寄せると、キスをする。

「痛い」
「うるせえよ」

もう一度キスをする。
首がちょっと痛い、けど、悪い気はしない。

「あー…眠ぃ」
「眠れば?明日休みでしょ」
「……が寝たら寝る」
「何それ」

ふふっ、と笑うと花宮は手を伸ばして私の額にデコピンをする。

「痛っ」
「早く寝ろよ」
「はーい」
「よだれ垂らすんじゃねえぞ」
「垂らさないよ」
「オレの本によだれ垂らしたのどこのどいつだよ」
「えっ」

そう言われ慌ててさっきの本を見ると、確かにちょっと跡が…。
う、うわあ…人様から借りた本によだれ垂らすとは…。

「オレに垂らしたらぶっ飛ばすからな」
「…はい」
「早く寝ろ」
「…はーい」

彼の本によだれを垂らしてしまった手前反抗できるはずもない。
目を瞑って眠ったふりをした。
さっきコーヒーが効いてきたのか、もうまったく眠くないから。

「………」

少しして目を開けると、花宮はぐっすり眠っている。
油断した可愛い顔。

「おやすみ」

前かがみになって、花宮にキスをする。

「……ん」

最後にちょっと唇を舐めてやった。
起きたら唾付けんなって、怒られるかな。


















おやすみ
12.12.02

前日のチャットで盛り上がった花宮です
花宮で盛り上がってたとき膝枕してもらう花宮が降りてきたのです
鉄は熱いうちに打てと言うことで…








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