季節の変わり目のせいなのか新学期で緊張しているせいなのか。
38度の熱が出た。

「食欲ある?」
「…ない…」

恋人である高尾くんが心配してお見舞いにきてくれた。
こんな姿見られるのは恥ずかしいけど、動けないのでされるがまま。

「ゼリーとか買ってきたからさ。なんか口に入れないと」
「うー…」

わかってる。何か食べないといけないってことは。
でも気持ち悪い…。

「食べないもん」
「ダーメだって!はい」
「…っ」

高尾くんは私を抱えるようにして起こす。
頭をあげると気持ち悪い…。

「はい、あーん」
「……」

そう言われてゼリーのスプーンを差し出されるけど、口を開かず拒否する。
食べたくない。

「すげえ強情っぱり…いつもはそんなんじゃねーのに」

高尾くんは呆れたようにそう言う。

「だって」

反論しようと口を開けた瞬間、高尾くんが口にスプーンを突っ込んできた。

「ひゃ?!」
「隙あり!」

口の中がひんやりする。
びっくりしてこぼしそうになるけど、なんとかこらえた。

「やっぱ食べられねー?」
「…冷たくて気持ちいい…」
「ほらな。もっと食える?」
「うん」

一口食べてしまえばなんてことない。
重いものではないし、熱い体には冷たいゼリーが気持ちいい。

「はい」

高尾くんにまた一口差し出されて口を開ける。
それを繰り返して無事完食だ。

「薬飲める?」
「うん」

お医者さんに出された薬を飲む。

「はい、寝っ転がってー」

ベッドに横になると、高尾くんが頭を撫でてくれる。
まだ薬が効いてないから、頭がふわふわする。

「んー…」
「寝なさい。いっぱい寝ると治り早いぜ」
「うん…」

頭を撫でてくれる手が気持ちいい。
少しうとうとしてきた…。

「高尾くん…」
「ん?」
「どこにも行かないでね」

ぎゅっと彼の手を握って目を閉じた。
おやすみなさい…。





「…大胆…」

オレの手を握って寝入ってしまったを見ながら小さな声で呟く。
どこにも行かないで、とか、この手とか。
さっきもゼリー食べさせるために「あーん」とかやってみたけど、マジでやってくれるとは思わなかった。
いつもなら恥ずかしがって絶対こんなことしないのに、熱に浮かされてるのか、はずいぶんと大胆だ。

「…これなら風引いたままでも…」

そこまで言いかけて、いけねと自制した。
オトコノコだからさ、そういうことされるとうれしいけど。
まー、がつらそうにしてるのに、そんなこと言えねーよな。

「早く元気になれよ」

んで、また二人で遊びに行ったりしようぜ。
部屋で二人でまったりするのも楽しいけどさ。

「おやすみ」

そう言って眠るにキスをする。
の言う通り、どこにも行かないから、これぐらいはしてもいいだろ?











おやすみなさい
14.04.22

凪さんリクエストの「おやすみのキスをする高尾」でした〜
ありがとうございました!




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