「さっきのワンちゃん可愛かったね」

辰也の部屋でさっきのことを思い出す。
学校からここに来る途中、犬を散歩している人に会ったのだ。
随分と人懐っこいワンちゃんで、撫でるととても嬉しそうにしてくれた。

、犬好き?」
「うん、可愛いよね。将来飼いたいなあ」

ああ、でも猫も飼いたい…。
うさぎや鳥もいいなあ。

「わっ」

そんなことを妄想していると、辰也が突然私の肩を抱き寄せた。

「…どうしたの?」
「ヤキモチ」
「犬に?」
「うん」

もう…。
辰也はヤキモチ妬きなんだから。

「ん…っ」

「た、辰也」

辰也はキスをしてくる。
キスをして、頬を撫でられる。
これは…。

「辰也、ちょっと」
「ん?」
「ま、待て!」

思わず手を辰也の顔の前に出してそう言った。
辰也は目を丸くする。

「…犬?」
「う…」
「お預けかあ」

辰也は寂しそうな顔で体を離す。
…。

「辰也」
「ん?」
「お手」

そう言って手のひらを出してみると、辰也は私の手に自分の手を乗せた。

「おかわり」
「はい」
「……」
「ご主人様だね」

辰也はクスリと笑う。
…なんか、変な感じ。

「…意外と従順?」
にはね」

辰也は私の手の甲にキスをする。

「大好きなご主人様の言うことならなんでも聞くよ」

カアッと頬が赤くなったのを感じた。
ご主人様…。

「わ、私そういう趣味じゃないよ…」

ご主人様と呼ばれて喜ぶ性癖はない。
なんだかむず痒くて、変な感じだ。

「オレ、になら飼われてもいいな」
「か、飼いません」
「そう?」

だからそういう趣味はないってば…。
はあ、とため息を吐くと、辰也が突然私を抱き上げた。

「わっ!?」

そのままベッドに寝かされる。
え、え!?

「ま、「待て」だってば!」
「聞けないなあ」
「ご主人様の言うことなのに!?」

慌ててそう言うと、辰也は笑う。

「大好きなご主人様の、悦ぶ顔が見たいんだ」

ああもう。
絶対辰也なんか飼えない。


















大好きなご主人様
14.02.04

一見躾が出来ているように見えてまったく出来ていない氷室辰也さん
多分ご主人様の言うこと以外絶対聞きませんね
ご主人様の言うこともたまに聞かない
でもそれはご主人様が大好きだから!大好きだから喜ぶところが見たい!っていう氷室が好きです






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