「あ、赤ちゃんだ」

辰也と一緒に町を歩いていると、乳母車に乗った赤ちゃんと、そのお父さんとお母さんがお買い物をしていた。

「可愛いね」
「そうだね」

赤ちゃんかあ…。

「男の子と女の子、どっちがいい?」
「えっ?」
「オレたちに子供ができたら」

辰也はにっこりと笑ってそう言う。
え、ええ…!?

「こ、こども」
「うん」
「……」

私と辰也の間に赤ちゃん…。
いつか辰也と結婚して、子供ができたら。

「どんな家庭になるかな」

毎日、寝る前に辰也がいて。
起きたら辰也がいて、そんな毎日が続いて。
辰也のためにご飯を作って…。
きっと辰也はおいしいと言ってくれる。
あと、お弁当とか作ったり。
子供ができたら、どっちに似るだろう。
女の子だったら、辰也はきっと親バカになるだろう。
男の子だったら、辰也と一緒にバスケしたりするのかな。
それで、家族で海に行ったり、ピクニックに行ったり…。

?」
「えっ?」
「なんか、ぼーっとしてる」
「あ…」

顔がポッと赤くなる。
も、妄想してた…。

「え、えーと…」
「想像してた?子供が出来たらって」
「う…」
「オレも」

辰也は優しく私の頭を撫でる。

「二人に子供ができたら、どうなるかな」
「…辰也は親バカになりそうだね」
「そう?」
「娘だったら絶対お嫁にやらなそう」
「当たり前だろ」
「……」
「ん?」
「…私のことはお嫁にもらう気なのに?」
「それは」

辰也は少し言葉に詰まる。

「…オレはちゃんと幸せにするよ」
「その人だってそう言うんじゃない?」
「ちゃんとできるかわからないだろ」
「娘の選んだ人が信じられないんだ〜」
「…」

そう言ってみればますます辰也は困った顔をする。
…ふふ。

「…でも、やっぱりダメだ」
「もう」

そんな未来の想像が膨らむ、休日の午後。









例えばで始まる無限妄想
13.11.03

2013年10月の拍手お礼に加筆修正を加えました
奥さんそっくりの娘なんて絶対氷室はお嫁にやらないでしょうね
超未来の話ですけど、実際に二人に娘が産まれて、娘が彼氏連れてきて落ち込んでる氷室に奥さんが「あの子の選んだ人なんだから信じてあげよう」って諭す話が書きたいです



title→恋したくなるお題







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