、ポッキー食べる?」
「あ、ありがとう」

部室、マネージャー仲間の友達がそう言って一本ポッキーを分けてくれる。

「今日ポッキーの日だねー」
「そうだねー」
「虹村くんとポッキーゲームやらないの?」
「あいつがやると思います?」
「思わないねー」

友達とポッキーを食べながらそんな会話をする。
虹村がポッキーゲーム…。想像できない。

「でも、はやりたいんだね」
「は?」
「だってやりたくないって言ってないし、なんか顔がやりたそう」
「……」

友達は楽しそうな顔で言ってくる。
こいつ…。

「別にやりたくないですよ」
「顔にウソって書いてあるよ〜?」
「明日あんたと私買い出し当番だったけど一人で行ってきてね」
「えっ」
「明日いっぱい買い出しあるけどねー頑張ってねー」
「えっ、ちょっと!」

友達は慌てるけど、もう遅い。
いつもこうやってからかってくるんだから!

「でも」
「?」
が可愛く強請れば虹村くんもやってくれそうだけどね」

友達はまたさっきみたいな顔でそう言ってくる。

「明日の買い出しだけじゃ足りないみたいね」
「いやいやいや!これあげるから許して!」

そう言って友達が差し出してきたのはポッキー一箱。
こいつ、絶対反省してない。

「それじゃ私はこの辺で!お先〜」

友達は明るい笑顔で去って行く。
もういっそ私の仕事全部あいつに押し付けてやろうか。
そう思いながら友達からもらったポッキーをもう一本齧る。

「おい、
「!」

なんてタイミングでやってくるんだ、こいつ。
部室のドアを開けたのはよりによって虹村だ。

「ポッキー食ってんのか?」
「ああ、うん。もらった」
「へー。ポッキーの日か」
「……まあ」

虹村はポッキーを一本食べる。
…可愛く強請れば、って…。

…いや、別にやりたいとか思ってないし。
全然、そんなつもりないから、本当。
そんなの、全然柄じゃないし。
第一可愛くとか無理だし。
ていうかポッキーゲームとか興味ないし。

本当、別に…。

「…虹村」
「あ?」
「…その、ポッキーゲーム、とか」
「……」
「いや、いや!なんでもない!なんでもない!」
「なに、してえの」
「違う違う!さっき友達がポッキーの日と言えばポッキーゲームだよねとか話してて!」

慌ててそう言うと虹村はデコピンしてくる。

「痛っ!」
「お前、嘘へたくそ」
「な、…っ」

反論しようとすると、虹村が私の口にポッキーを思いっ切り突っ込む。
半分くらい突っ込まれてる。喉に当って痛い。

「…っ!」

ちょっと、と言おうとすると、虹村が残った半分のポッキーを食べる。
唇が、掠める。

「……え」
「なんだよ」
「…なに、今の」
「ポッキーゲーム」
「……なんて豪快なポッキーゲーム」
「まどろっこしいの苦手なんだよ」

虹村はそう言ってこちらを見ない。
…恥ずかしいなら、しなきゃいいのに。

「……虹村」
「……なんだよ」
「も、もう一回」

虹村の服の袖を掴んでそう言うと、もう一度デコピンされる。
反射的に目を瞑ると、今度は唇にしっかりとした感触。

「……ポッキーゲームじゃない」
「まどろっこしいの苦手だっつったろ。それとも」
「……」
「…嫌かよ」

虹村が目線を外してそう言うから、私も俯いて「嫌じゃない」と答えた。


虹村はいつの間にかこちらを見ている。
私も虹村を見て、今度は普通にキスをした。














はんぶんこ
13.11.11

ポッキーの日!
今まで「恥ずかしい〜><」みたいな話たくさん書いてきましたがこれが群を抜いて恥ずかしいですなにこれ恥ずかしい






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