近所のスーパーの休憩所。
お母さんに頼まれたお使いを終えて、冷房の効いたここでいったん休憩。

「あー、涼しいー!」

椅子に座って伸びをする。ここはクーラーが効いていて気持ちいい。

「あれ、やん」
「あ、白石」

通路を一瞥すると、そこにはクラスメイトの白石が。
白石も私に気付いたようで、私の名前を呼んでこちらにやってくる。

「ラッキー」と心の中でつぶやいた。

何してるん?」
「お母さんに買い物頼まれて。白石は?」
「オレも部活帰りに母さんからメール来てなあ。タマゴ買って来いやて」
「それで休憩?」
「ここは涼しいからなあ」

そう言うと白石は私の隣に座ってパタパタとスーパーのチラシで自分を仰ぐ。
私も何か仰ぐものないかな、と思って鞄を開けると携帯のメールを知らせるランプが光っている。

「あれ、メールだ」
「あ、あれやん?なんやクラスのみんなで花火しよ〜ってメール来たからそれやないか?」
「あ、本当だ」

メールを開くと『花火大会のお知らせ〜☆☆☆』というテンション高めの件名。
白石の言う通りクラス皆で手持ち花火をしようという内容だった。

は行くん?」
「あー…行きたいんだけど…」

花火はやりたい。是非とも。けど日時が…。

「この日おばあちゃん家行くんだよね…」
「そうなん?」
「あー、行きたかったなあ」

すごく残念だ。
花火はやりたい。とても。
花火自体好きだし、…それにおそらく白石も行くのだろう。
でもこの日程ではどうしても行けない。

行けないんか。残念やなあ」
「うん。花火したかったなあ」

はあ、とため息をつく。

「そないに行きたかったん?」
「え、うん。そりゃね」

半分はせっかく白石と夏休み中にも合えるチャンスを棒に振ってしまうと言うため息だけど…。

「せやったら今日しよか、花火」
「え?」
「うち花火いっぱいあんねん。親父がえらい買ってきてなあ」

え?花火って、私と白石が?
ちょっと展開についていけない。

「あ、今日なんか予定あったん?」
「いや、予定はないけど…」
「せやったらええやん」
「あ、まあ、うん。あ、そっか。ほかに誰か誘う?」

そうだ、そういうことだろう。
うっかり慌ててしまったけどそういうことだ。

「あー!、アカン、アカンで!」
「え、何が!?」
「せっかくオレが決死の覚悟で誘っとるのに、他のやつも誘うなんて野暮なことしたらアカンで!」
「え、えええ!?」

白石は私を指さしながら熱く語る。
一方私は思ってもみなかった言葉に動揺が隠せない。
な、何言ってるのこの人。

「せやなあ、ちゃんと誘わなアカンかったな」

白石はさっきと打って変わって真剣な表情になった。

「なあ、今日一緒に花火せえへん?もちろん、二人だけで」

今日白石に会えただけでラッキーだと思っていたのに、まさかこんな展開になろうとは。
とりあえず夜までにこのドキドキをどうにかしないと。

















花火大会のお知らせ(みんなでじゃなくて二人だけでね)
12.08.08