「ねえねえ、花井くん、今日の宿題見せてほしいんだけど」

「ねえねえ、花井くん、そのパン一個くれない?」

「ねえねえ、花井くん、消しゴム忘れちゃったから貸してほしいな」


クラスメイトのは、いつも俺が教室に行くたびにこんなことを言ってくる。
………俺はの小間使いじゃないはずだ……。


「だって花井って頼りになるんだもん」
「だからってなあ…消しゴムなんて友達に借りりゃあいいだろ」
「ひどい!花井と私は友達じゃないっていうの!?」
「いや、そうじゃなくて女の友達に借りろよ!って話だ!」
「あ、今日はペンケースごと忘れちゃったからシャーペンと消しゴムよろしく!できれば赤ペンも!」
「………」

はあ、と溜め息をつきつつ、なんだかんだで言われた通りにしてしまう。
初めてに「消しゴム貸して!」と言われたときから、消しゴムは2つ持ってくるのが日課になってしまった。
「パンちょうだい!」と言われれば、さすがに一個まるまるはやれなくても一口くらいならついついやってしまう。
……これが惚れた弱みってやつなのか。

「花井って本当にやさしいねえ」
「これをやさしいっつーのかね…」
「やさしいんじゃないなら何?もしかして下心?」
「なっ…!?」

ななななな、いや待て落ち着け俺。ここで慌てたらモロバレじゃねーか!
大丈夫だ。ここは持ち前の冷静さで切り抜けるんだ。

「な、何言ってんだよ、あほか」
「えー、私は下心ありありなんですけど」
「なななっ!?」
「こんなに毎日話しかけてたんだから気づいてよね」

今度こそ落ち着いたふりすらできなくなった俺は、ぽかんとの顔を見つめるだけだ。
ああ、偉そうに言ったくせに今度は照れたように笑いやがって。

ちくしょう、そんな顔も可愛いと思うなんて、やっぱり惚れた弱みって強力だ。




「ねえねえ花井くん、私と付き合ってくれる?」












「ねえねえ、」
09.09.012

キリリク98789Yさんへ!
花井で甘とのことでしたが甘くなかったらすみません!