ちん、室ちんのこと好き?」

部活が終わった後の部室で、敦が突然そう聞いてきた。

「え?」
「好き?」
「う、うん。好きだよ」

好きに決まっている。
私の大切な人だ。

「わー言っちゃったー」
「?」
「今日エイプリルフールだよ〜好きって言ったら嘘になるよ〜」
「ええ!?」
ちん本当は室ちん嫌いなんだね」

いやいやいや!?
今日は確かにエイプリルフールだけど別に発言全部が嘘ってわけじゃないでしょ?!

「わー室ちん可哀想だね〜」
「敦!」

立ち上って反論しようとすると、部室のドアが開いて辰也が入ってきた。

「?二人ともどうしたの?」
「あのねえ、ちん室ちんのこと嫌いなんだって」

敦の言葉に、辰也は怪訝な顔をする。
違うってば!

「違う!違うってば!好きだから!」
「ほら〜今日エイプリルフールなのにこう言うんだよ〜」
「ああ、そういうこと」

辰也は納得したように笑うと、私の隣に座った。

「室ちんはちん好き?」
「好きだよ」
「ちょっと〜室ちん話聞いてた?」

敦は辰也の返答に唇を尖らせて不満そうにしている。
そんなにエイプリルフールこだわらなくても…と思うけど、まあ、敦だしね…。

「嫌だなあ、敦」
「?」
「たとえ嘘でも、のこと嫌いなんて言えるわけないだろ」

辰也は私の頭を優しく撫でる。
辰也…。

「二人はあれだね、4月バカじゃなくてただのバカップルだね」
「ば、バカップルって…」
「ごちそーさまでした」

敦はそう言うとちゃっちゃと支度をして部室を出て行ってしまう。
な、なにがしたかったんだろう…。


「ん?」
「オレのこと、好き?」

二人だけになった部室で、辰也は甘い声で聞いてくる。

「大好きだよ」

私は笑ってそう答えた。
私だって、嘘でも嫌いなんて、言えないな。










ハニーメープル
14.04.01

ハチミツとメープル足しても敵わないくらい甘いバカップルさん




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