お昼休み、友達たちとお弁当を食べ終わった後、持ってきたお菓子でおやつタイム。
ハロウィンは幸せだ。みんなお菓子を持ってきてくれるなんて!
「、本当お菓子好きだねえ」
そりゃあもう。お菓子があれば幸せになれる。
「『Trick or treat』って言えばみんながお菓子くれるんだよ。ハロウィンって素晴らしい文化だと思う!!」
「『お菓子くれなきゃ悪戯するよ』ねえ…」
「?何?」
友人は意味ありげに私を見つめてくる。
「それ、黒子くんにも言うの?」
黒子くんは、最近付き合い始めた私の彼氏だ。
「そりゃ、まあ」
「へえ〜…」
「な、何?」
「恋人同士で『悪戯』とか、なんかやらしくない?」
「なっ」
思わず食べていたクッキーを喉に詰まらせる。
なんてことを言うんだこの子は。
「別に悪戯って言ったってくすぐったりとか、顔にラクガキとか、いろいろあるじゃん!」
「まあ、そうだけどね〜」
友人は悪戯っぽく笑いながらそう言う。
まったく、この子は…。
*
「さん、お待たせしました」
「ううん、大丈夫だよ!」
放課後、黒子くんの部活が終わるのを待って一緒に帰る。
人を待つのは好きじゃないと思っていたけど、黒子くんと付き合い始めてからこうやって黒子くんを待って一緒に帰るのはいいなあ、と思い始めた。
黒子くんの隣を歩いて、校門を出る。
「あ、ねえ、黒子くん」
「はい」
「Trick or treat!」
笑顔で黒子くんに右手を差し出すと、黒子くんは目を丸くした。
「あ、そうですよね、ハロウィン…」
「うん」
「すみません、ボク、お菓子持ってないんです」
「あ、そうなの?」
「はい、そうですよね、女の子はこういうイベント好きですもんね」
そうか、男の子はあんまりこういうイベントにあんまり興味ないのか…。
残念、と思って出した手を引っ込める。
「じゃあ、どうぞ」
「え?」
どうぞ、って、何だろう。
「いや、お菓子あげられないので、どうぞ悪戯を」
「え」
「そういう日ですから」
あ、いや、まあ、確かにそういう日でそういうことを言ったんだけど。
別にお菓子くれなかったからって本当に悪戯しようと思って言ったわけじゃないんだけど…。
「ていうか、その、悪戯って何すれば…」
「それは、さんのしたいように」
「したいように…」
「はい」
「……!」
『恋人同士で『悪戯』とか、なんかやらしくない?』
ぱっと友人の言葉を思い出して、いやいやいや!と思い直す。
えっと、なんだっけ。確か私何かその後に悪戯って言ったって他にあるじゃんと思ったはず。
な、なんだっけ。だめだ、友達のせいでまったく思い出せない。
「あの、さん、顔が赤いですけど…」
「えっ!?あ、いや、だ、大丈夫だから!!」
「…ボク、お菓子買ってきますね」
「え?」
「そのほうがいい気がします、お互いのために」
そう言って黒子くんはコンビニへ向かった。
ハロウィンは私たちにはまだ早かったようです…。
悪戯するよ?
12.10.31
ハロウィンって言うとこういうネタしか思いつかないです
感想もらえるとやる気出ます!
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