「赤也ってさ、あれだよね」
「あれ?」
「うん、あれ」
「だからあれって何だよ」
「私より、テニスのが大切なんだよね」

私がそう言うと、赤也は飲んでいたジュースを吹き出した。
「汚いよ」
がアホなこと言うからだろ!」
「吹き出したってことは、図星なんでしょ」
「いや、そんなことはないですよ」
「あらあら随分丁寧な言葉遣いね」
「………」

赤也がこんな言葉遣いをするってことは、図星ってこと。まぁ別にわかってたんだけどね。

「あの、すいません。さん、怒ってますか」
「んー怒ってないよ」
「…本当に?」
「うん」

あたしはテニスが一番好きな赤也を好きになったんだから。とは、調子に乗るから言わないけど、

「ただね、ちょっとムカついてるの」
「え?」
「あたしの誕生日さ、試合だとか言って会ってくれなかったよね」
「あー…」
「早めに寝るとか言って0時丁度にメールも電話もなかったし」
「いや、でも夜ちゃんと送ったよ、な?」
「ああ、おめでとーだけの文面でね」
「あ、それはほら、疲れてたから」
「その上プレゼントは一週間遅れで」
「金欠だったんですすいません」

赤也の声はどんどん弱気になってる。弱気になんなくてもいいじゃない。言ってるでしょ、別に怒ってるわけじゃないって。ただ、ちょっと寂しいなって思っただけで。

「赤也、あたしのこと好き?」
「え、ああ」
「ならいいよ」

あたしは赤也の肩に頭を置く。ここが一番好きな場所。

「本当に怒ってねぇの?」
「うん、だけど、たまには構ってね」

赤也は一瞬驚いた顔をして、ああ、と頷いた



















06.12.10

題名が思いつかなくて大変な思いをしました…