「謙也、謙也ー!」

廊下で大声で名前を呼ばれたので振り返ると見慣れた顔。
幼馴染のや。

「おお、なんや」
「なあ、今週の日曜ってテニス部試合やるんやろ?」
「そうやで。言うてなかったか?」
「聞いてない!いつも試合するときは言ってって言うてるやろ!」

「このアホ!」と言われ盛大に尻を蹴られた。
手加減なしの本気蹴り。は昔からそうや。

「日曜試合なのに怪我したらどないすんねん!」
「約束破る謙也が悪い。第一、鍛えとるのにこの程度で怪我する方がいかんやろ」
「別に破ろ思て破った訳やないで!もう言うたと思ってただけや!」
「忘れたらだめやろ。私が応援行かんかったときアンタいつも負けとるやん。また負けたいんか」
「べ…別にいつもやないで!が応援来んかったとき以外でも負けとることあるし!」
「それ大声で言うことやないから」
「ぐ…」
「まあええわ。練習頑張りい。ちゃんと応援したるわ」

嵐のように現れたは嵐のように去って行った。
小さいころからいつもあの調子でオレは何度尻を蹴られたことか。

「はあ…」
「今日も相変わらずやなあ」
「おお、白石。尻が痛くてしゃーないわ」
「ホンマ仲ええなあ」
「まあなあ。オレに尻蹴りした回数はが一生トップを走り続けるやろなあ」
「なんや、お前らマンガとかでよくある『学生時代は付き合ったりしなかったけど結局結婚しました』とかになりそうや」
「怖いこと言うなや…」
「嫌なんか?」
「嫌っちゅーか、と結婚したらオレの尻がもたん気がする」
「そこなんか…」
「まあ、オレとが結婚なんてありえへんやろけどなあ」


そう言ってはみたものの、なぜかそんな将来が簡単に想像できてしまって
1人で思わず笑ってしもうた。


















11.06.11
謙也の話はあんまり地の文入れたくなります
会話のテンポ重視したくなると言うか

謙也は惚れっぽいので出会いと別れを繰り返すけど、
結局昔から一緒にいた子と結婚、というイメージです