「ねえねえ白石くん」
「なんですかさん」
「つまらないのです」

日曜の昼下がり、白石の部屋。
定期試験まであと1週間を切った今日、私は是非とも苦手科目なしと言い張る白石に勉強を教えてもらおうとここにやってきたのだけど、正直言って飽きてきた。

「そっちが勉強教えてって言うてきたんやろ」
「いやまあそうなんですけど」

こんなことなら自分一人で勉強したほうが効率よかったに違いない。
一人でやってても飽きるときは飽きるけど、一人なら今のこの状況、「好きな人が目の前にいる」という一番心を乱される事態には絶対にならないのだから。

、勉強する気ないんなら初めからすんなや」
「いや、最初はあったよ。そうじゃなきゃこんな教科書やら問題集やら持ってここまで来ないって」

本当のことだ。
最初はちゃんとやる気があった。少なくともいつものテスト以上に。
だって普段は平均点取れていれば十分と考えている私が人に教えを請って勉強しようとしていたんだ。
これをやる気と言わずになんと言う。

「だってさ、白石はつまんなくないの?今、可愛い彼女が目の前にいるのに一番視界に入ってくるのは数学の公式なのよ」

そう言うと、白石は少し何かを考えて、手に持っていたシャーペンを放り投げた。

「あー、やめややめや」
「ね、やっぱり白石もつまらないと思ってたんでしょ」
が来んかったらつまらん思てても真面目に勉強しとったわ」

あははっ、と笑う私に白石は一つキスを落とす。

「今回点数落ちたらのせいやで」
「…やっぱる勉強しようか」
「冗談やろ?」


大丈夫大丈夫、明日はちゃんと勉強するから。
テスト前、いつも思うことを言いながら、私たちはもう一度キスをした。











ジョークはキスのあとで
09.12.13
よつばみち様へ!