「準太、ちょっと相談があるんだけど」 昼休み、屋上で弁当を食べている最中、がやけに神妙な顔でそう言ってきたので、こちらも真剣に聞くことにした。 箸を止めて、ちゃんとのほうを向いて、「何かあったのか?」と聞いたら 「学校に行くまでの電車の中って暇なんだけど、何してればいいと思う?」 そんな答えが返ってきて、思わず箸を落としてしまった。 「わ、まだお弁当途中なのにどうすんの?」 「お前さあ…相談って言うから真剣に聞いたら…」 「言っとくけど私は真剣だからね。はい、箸」 はい、とは自分の箸をオレに渡した。ふとの弁当箱を見ると、すでに中身はなくなっていた。 何でこんな食べるの早いんだろう。いや、もともと量が少ないのか。 そうじゃなくて、そうだ、電車の中が暇って話だ。 「暇なら本でも読めば?」 「本は嫌いなの」 「…じゃあ漫画」 「電車の中で漫画読むって恥ずかしくない?」 「……あれ、ゲーム。脳を鍛えれば?」 「私ゲーム持ってないもん」 「…お前なあ」 相手がとはいえ、こうも自分の意見を否定されると腹が立つ。 第一オレは自転車通学なんだから、電車で何をすればいいかなんてわからない。 「いいじゃん、ボーっとしてれば」 半ばヤケになって、適当にそう言ったら、「それが一番嫌」と言われた。 「だってボーっとしてたら準太のことばっか考えちゃうじゃない」 そしたら電車の中で一人でニヤつく怪しい人になっちゃう、と言われてオレは再び箸を落とした。 ああ、なんだか、一本取られてしまった感じだ。 純情少年空を飛ぶ 08.04.10 |