お正月。
家族と初詣を済ませて、部屋でテレビを見ていたら、花宮から電話が掛かってきた。

「もしもし」
『……』
「ちょっと、無言電話?」
『うるせえよ』

相変わらず理不尽なことを言う。
電話かけてきたのそっちじゃないか。

「疲れてる?」
『…ああ』
「だろうねえ」
『かったりーんだよ、正月』

花宮は親戚付き合いとか大嫌いだしなあ。
お正月とか、面倒なだけだろう。

「抜け出してきたの?」
『ああ』

少し、頬が緩む。
不謹慎かなと思いつつも、うれしい。
疲れたときに、私に電話を掛けてきたことが。

『なんか話せよ』
「どんなのがいい?」
『なんでもいい』

いつもは「つまんねー話したら殺す」くらい言ってくるのに。
本当、疲れてるんだな。

「むかーし、昔、あるところに」
『何の話だ』
「日本昔話」
『ぶっ飛ばすぞ』
「なんでもいいって言ったのに」

そうは言っても花宮は本気で怒っているふうではない。
おもしろい話がしたいんじゃないんだろう。
ただ、なんでもいいから、会話を。

「…花宮」
『あ?』
「好きだよ」

花宮は、黙る。
少しの間、沈黙が流れる。

『…バァカ』
「何よ」

いつもはそう言うと不機嫌な顔になるけど、こいうときは別だ。

『…もう戻る』
「そ、行ってらっしゃい」
『クソめんどくせえ』
「あはは、頑張れ頑張れ」

茶化すように励ますと、花宮の笑い声が聞こえた気がした。

『おい』
「ん?」
『……』
「?」
『…なんでもねえよ』

そう言って花宮は電話を切った。
遠くて聞こえなかったけど、何を言ったか、わかるよ。








カンパニュラ
14.01.01

ハッピーニューイヤー!
カンパニュラの花言葉は感謝です

いつもは好きとか直接的な言葉を嫌うけど、弱ってるときは素直に受け入れる花宮
花宮は良家のイメージなので年始大変そう



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