「次の金環日食ってすっごい先なの?」
「いや、ここらへんは29年後に見られるらしいで」
「あれ?そうなの?」
「日本の広範囲で見られるのが300年後、地域毎なら結構見られるみたいやで」

あ、そうなんだ。もう二度と見られないかと思ってた。
29年だったら普通は生きてるだろう。
確実に見られる。ちょっと嬉しくて小さくガッツポーズした。

「へえー、でも29年後かあ。今中3だから…44歳くらい?」
「せやなあ。300年より短いけどだいぶ先やなあ」
「44歳なら結婚してるかな。ていうかしててほしい、未来の私」
「大丈夫や、ちゃんと嫁にもらったるから」

なんとなしに言った言葉に思ってもいない言葉が返ってきて思わず赤くなる。

「バカじゃないの」
「29年後はと子供たちと金環日食観察かあ、悪くないな」
「人の話聞いてる?」
がバカっていうときは本気やなくて照れてるときや」

私は諦めたようにため息をついた。

「ええやん、子供たちに「お父さんとお母さんは前の金環日食のときも一緒にいたんやで」って話せたら」
「白石って意外とロマンチストだよね」
もそうやろ」

否定しようとしたけど、白石の言うとおりになったらいいなあと思ってしまったので、
声には出さないで小さく頷いておいた。









12.05.21 すごいギリギリに金環日食ネタ