「寒っ…」

1月1日、元旦。
お母さんに買い物を頼まれて近くのコンビニまで出かけている。
お小遣いに釣られてしまったけどやっぱり寒い。
せっかく外に出たのにお使いだけで終わるのは何となく嫌だ。
どうせ初詣行こうと思ってたし、神社まで足を伸ばそうかと思って、道を曲がるとクラスメイトの顔が見えた。

「あ、氷室!」
「あれ、

まさか元旦から氷室に会えるとは!こんな嬉しいことはない。
お使い頼んでくれてありがとうお母さん!

「何してるの?」
「お茶切らしちゃって、買ってきたんだ。は?」
「私もお母さんに頼まれて買い物してきたの。あと、初詣して行こうかなって」
「へえ、じゃあオレも行こうかな」
「え?」
「そこの神社だろ?」
「う、うん!」

う、わ、まさかの!会えただけで嬉しいのに初詣まで!
お母さんありがとう!もうお駄賃いらない!もらうけど!

「じゃあ、行こう」
「うん」

並んで神社までの道を歩き出す。
新年早々いいこと尽くめだ。

「お参りって、どうするの?」
「どうするって?」
「いや、手叩いたりするだろ。あれよくわからないんだけど」
「あ、そっか。えっと、二回お辞儀して、お賽銭入れるの。鈴を鳴らして二回手叩いて一回お辞儀」

立ち止まってするふりだけしてみる。
とは言っても、私も久しぶりだけど。

「五円玉入れるといいんだよ」
「どうして?」
「ご縁がありますようにって」
「ダジャレ?」
「…そういう言い方…。あ、五円玉9枚が一番いいんだよ。四十五円、始終ご縁がありますようにって」
「やっぱりダジャレじゃないか」

氷室の言葉にため息を吐いた。
違うって言ってるのに!






混んでいる神社。列に並んで順番を待って、いよいよ順番。
隣にいる氷室がちらちらこっちを見ながら真似しているみたいだ。
…なんだか緊張しちゃう。

「………」

今年一年、家族も友達も、みんな健康で幸せに過ごせますように。
…あと、氷室とちょっとでも近付けますように。
用意しておいた五円玉を入れて、そう参拝する。

「もういい?」
「うん。行こう」

そう言って氷室と一緒に列を離れる。
ほかにすることもないし、早々に神社を出た。
氷室は何をお祈りしたんだろう。

「氷室、何円入れた?」
「十円」
「え、十円ダメだよ。遠縁だから叶わなくなっちゃう」
「そうなの?早く言ってくれないと…」
「あ、ごめん…」

そうだ、氷室はそんなの知らないよね…。ずっと日本に住んでても知らない人結構いるし。

「叶わなかったら困るな」
「何お願いしたの?」
「ん?ともっと近付けますようにって」

………
え……。

「い、今なんて」
「だから叶わないと困るんだけど」

氷室はいつもと変わらない笑顔で「は?」なんて聞いてくる。
わ、私の願い事、は。

「…みんな健康で過ごせますようにって、それと」
「うん」
「…氷室と、近付けますようにって」

そう言うと、氷室は私を抱き寄せた。

「十円でも叶うんだ」
「…私、五円入れたから」
「そっか。ありがと」

…いい一年になりそう。









今年もよろしくお願いします
13.01.01







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