「あれー?謙也だ」
「お、何やってんや?」
「見たまんま。買い食い」

学校帰り、コンビニでお菓子を買って外へ出ようとしたらクラスメイトの謙也に会った。
どうやら謙也も同じ目的のようで、アイスコーナーを眺め始めた。

「アイス?最近暑いもんね」
「なー、干からびてまう」
「あっ、私これ好き」

奥の方にあるレモンシャーベット。
ちょっとマニアックなメーカーらしく、あまり見かけなかったんだけど、このコンビニにあったんだ。

「へえー、初めて見るなあ」
「おいしいよ、オススメ」
「んじゃ、これにしてみるわ」

そう言って謙也はレジへ向かった。
別に一緒に帰ろうと言ったわけではないけど、なんとなく謙也を待った。

「おお、待っててくれたんか」
「うん、まあ、なんとなく」
「ま、とりあえず食うか」

謙也は歩きながらレジ袋からスプーンとアイスを取り出した。
やっぱりおいしそう。私も買えばよかったかな。

「ねえ、それ一口ちょうだい?」
「え、でもスプーン1個しかないで」
「別にいいよ、私そういうの気にしないから」
「…ま、まあそう言うんなら」
「ありがと」

謙也から渡されたスプーンで一口食べる。
うん、おいしい。

「ありがと。私も買えばよかったなあ」
「…どーいたしまして」

スプーンを返すと謙也は妙にそわそわし始める。

「早く食べないと溶けるよ?」
「え、ああ、せやな。溶けたらまずいもんな」

そう言って謙也はようやく一口食べた。

「…レモン味やな」
「そりゃ、レモンシャーベットだもん」
「いや、そういう意味やなくて…」
「?どういう意味?」
「ええねん…俺一人が意識しとるだけで…」






レモン味?

capriccio様から拝借
きみにキス、きみとキスお題

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