「ぎゃーーー!最悪!」

休日の午後、氷室の部屋に私の声が木霊する。

「どうしたの?」
「今日の血液型占い最下位だ!」
「ああ、そんなこと」
「『そんなこと』じゃない!」

雑誌の占いでは私の血液型は最下位。
占いを全部信じてるわけじゃないけど、やっぱりショック。

「なんかショックー」
「女の子って好きだよね、こういう占いとか」
「ああ、男の子ってあんまりやらないよね」
「まあ、嫌いってわけじゃないけど、あんまりね」

氷室は私の持っていた雑誌を取って占い欄を見る。

「特に血液型占いってあんまり馴染みなくて」
「ああ、こういうのって日本だけなんだっけ。何なら馴染みあるの?」
「星座占いなら結構あったな」
「へえ、そうなんだ」

だったら、と思って携帯で調べてみる。

「氷室って蠍座だよね」
「そうだけど…ああ、調べてるの?」
「うん、せっかくだし」
「別にいいよ、大して信じてないし」
「こういうのは信心じゃなくてノリだよ!」

えーと、蠍座、占い…、と。
さて、結果は…。

「蠍座の性格は、執念深い、嫉妬深い……なんか、あんまりいいこと書いてないね」
「だろうね。いつもそんな感じだし」
「………」

な、なんか切ない。
そうだ、長所!長所はなんだろう。

「えっとね、長所は…」
「なに?」
「…性的魅力…」

氷室は私の言葉を聞いて吹き出した。

「いやいやいや、笑うとこじゃないよ!?ショックじゃないの?!」
「いや、ついね」

氷室は「あー、面白い」と言って私の携帯を見る。

「合ってるかな?」
「え?何が?」
「だから、長所。合ってる?」
「いや、そう言われましても…」

性的魅力があるかどうか聞かれても答えられない。
というか、答えにくいと言うか…。

「じゃあ、判断してもらおうか」
「え、ちょっと、なんでこっち寄って来るの」
「ほら、長所って自分じゃよくわからないから、に教えてもらおうかと」
「いやいやいや!そういうのはちょっと私も判断しかねるので!」

後ずさりするけど、結局無駄な抵抗に終わる。
手首を掴まれれば、もう逃げられない。
赤くなった私を見て、氷室は楽しげに笑う。

「…やっぱり占い通りアンラッキーだ…!」

小さい声で呟くと、氷室は間髪入れずに言った。

「ラッキーの間違い、だろ?」

氷室の言葉に反論できないまま、心の中で「やっぱりアンラッキーだ」と思った。



















ラッキー・デー

12.07.17


私は蠍座なんですが、星座占いの性格を見るたび涙をこらえることになります。
星座占い作った人は蠍座になにか恨みでもあるんですか…