私の隣の席は野球部のエースの高瀬くんです。


一週間前のHRでやった席替え。私の引いた16番は、廊下から二列目の一番後ろで、そこに机を移動させると、隣(つまり一番廊下側の一番後ろ)は、なんと高瀬くんだった。

さん」
「あ、えと、隣だ、ね」
「そうだな」

う、わ、私何当たり前のこと言ってるんだろう。落ち着け私!いや、多分無理だ。だって、高瀬くんが隣なんて!一年の頃から、とは言わないけど私は高瀬くんのことが好きだ。隣になれたこと自体は嬉しいけど顔なんてまともに見れないし、私は自他共に認める人見知り。普通に人に話しかけるのだって緊張するのに、相手が高瀬くんとなれば話しかけるどころの問題ではない。どうしようどうしよう本当にどうしよう!


そんな感じで特に何もなく一週間経ってしまった。話したことと言えば3日前の古典の授業の後に「ごめん、ノート貸してくんない?」と言われたときに「オレ、古典苦手なんだよね」「え、そうなの?」「なんか眠くなんだよなー」と言ったくらいだ。そこで一押し「教えてあげようか?」と言うべきだったのだろうか。一応古典は得意なんだけど、ここで言ったらうざいとか思われないかなとかいろいろ考えてしまって結局会話は続かなかった。それに高瀬くんも少し人見知りみたいだし、人見知りと人見知りじゃ会話なんて弾むはずがない。

ちら、と横に目をやる。今、高瀬くんの席には一年の男の子が来てて(部活の後輩らしい)(忘れ物を届けに来たとか何とか言ってた)楽しそうだなあ。そういえばこの間も来てたっけ。りおう、くん?だったかな。

「あ、」

その、”りおう”くんと目が合ってしまった。ねえねえ、名前なんて言うんスか?と聞かれ、少しびっくりしながら答えると、へー、とまん丸目を見開いてこっちを見てくる。え、な、何?慌てる私を見て高瀬くんは何やってんだお前、とりおうくんをチョップした。

「いったー!何するんスか!」
「お前がアホだから」

ひっでー!と涙目でわめくりおうくん。何で私の名前なんか聞いたんだろ?

「あのさ、オレ、前来たときも思ったんスけど」
「何を?」
「準サンってさんのこと好きなの?」

なっ…!と高瀬くんは立ち上がった。え、何?何が起こってるの?

「お前もう出てけ!」
「えー!何で!」
「何でじゃねえよ!このアホ!」

りおうくんは残念そうな表情で教室を出て行ったけど、私は今それどころじゃない。

「、さん」
「え、あ、はいっ?」
「あの、あいつの言ったこと気にしないで」
「う、うん、その、大丈夫」

一応うんと返事をしたけどそんなの無理だよ。気にするに決まってるっていうか、だって、だって。
ねえ、高瀬くん、あなたの顔が赤いのは気のせいですか?





















メリーメリー
07.12.08