11月3日、土曜日。本日、14回目の誕生日。
だからって何があるわけでもない。13歳から14歳になったところで何も変わらない。

「相変わらず冷めてるねー」

コタツに入ってみかんを頬張りながらは言った。
は昼ごろいきなり来たと思ったら、
「おばさん!今日も寒いですね!コタツ出しましょう!」
と、うちの居間にコタツを用意して、「あ、誕生日おめでとー」と言ってみかんを差し出してきた。
俺の誕生日を祝いに来たのかコタツに入りに来たのかよくわからない。

「こんな可愛い幼馴染に祝ってもらうだけでも幸せだと思わない?」
「可愛いって誰が?」
「私に決まってんじゃん」
「…ぷ」
「今笑ったでしょ?」
「気のせいじゃない?」

はあ、と溜め息をつきながらの隣に座りコタツに入った。ああ、あったかい。
深司もみかん食べれば?と言ってはみかんを渡してきた。
このみかん、プレゼントじゃないの?と思ったけど面倒なので「どうも」と言って受け取った。

「どうよ、感想は」
「…ふつうにおいしいけど」
「そうじゃなくて14歳になった感想よ」

ああ、そういうこと…14歳ね。
昨日までは13歳。0時になったとたん14歳。

「…特にないけど」
「…まあそんなもんか」
「そうだよ。14歳になったからって、別に…」
「でもさ、小学校の頃って、中学生がすごく大人っぽく見えなかった?」
「…まあね」
「でさ、実際中学生になってみると”こんなもんかー”って思って、
 今度は先輩が大人っぽく見えるの。で、先輩になると」
「こんなもんって思う」
「そうそう」

はふふっ、と小さく笑った。
やっぱり、みんな俺と同じようなことを思ってる。
歳を取ることと、大人になることはイコールじゃない。

「多分ずっとこうなんじゃない?まだまだ大人じゃないなーってずっと思うんだよ、きっと」
は特にそうかもね」
「どういう意味?」
「そのままの意味」

こんな掛け合いも、昨日までと同じ。やっぱり13歳も14歳も変わらない。
ずっとこんなことの連続なんだろうなあと思いながらからもらったみかんを食べきった。




















青春モラトリアム
07.11.03





深司誕生日おめでとう!